小寺慶子のレストラン予報|代々木上原〈茂幸〉 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

小寺慶子のレストラン予報|代々木上原〈茂幸〉

『カーサ ブルータス』2020年7・8月合併号より

旬を愛でる日本料理に心が満たされるでしょう。

若鮎の塩焼き、薬味のご飯(写真の料理は12,000円のコースの一例。内容は仕入れで変わる)。
いちご煮の素麺。青森県の郷土料理である “いちご煮” にヒントを得て。
日本料理には旬味を合わせる “出会いもの” という言葉があるが、季節の食材の組み合わせはもちろん、美しい器と料理の “出会い” を楽しませてくれるのが今春オープンした〈茂幸〉だ。

〈祇園 丸山〉、〈麻布 幸村〉で日本料理に向き合う姿勢や知識、技術を磨いてきた菅野茂男さん。日々の鍛練やたしかな審美眼を感じさせる料理には絶対的な安定感があるが、器使いも含めて旬やストーリー性を盛り込んだコースには食べ手の心を惹きこむパワーがある。

たとえば見事な梅が描かれた輪島塗の大椀に盛りつけられたいちご煮の素麺は、器に合わせて初夏の料理を考えていたときにひらめいたという逸品。鮑とカツオ、それぞれを合わせた出汁と鮑のペースト、雲丹と梅素麺を混ぜて食べると口のなかにおだやかな旨みとやさしい酸味が一体となって広がる。丸十を添えた若鮎の塩焼きや花山椒のタルタルで食べる海老フライなど、季節ごとのお楽しみも続々。格式主義の逆をいく懐の深い日本料理店もまた、心ときめく “出会いもの” だ。
店は代々木上原駅と幡ヶ谷駅の中間地に。住宅街になじんだ外観同様、ぬくもりのあるカリンの木のカウンターを備えた空間はアットホームな雰囲気。基本は夜営業のみだが、ランチの貸し切り相談なども可。
 
[予算]1人15,000円〜
コースは12,000円のみで10品前後が登場する。プラス3,000円で肉料理を追加することもできる。

[予約]事前に要予約
現在はカウンター8席のみで営業。隠れ家感満載のロケーションなので時間に余裕を持って訪れたい。

[ドレスコード]上質カジュアル
器も料理も旬を楽しむのが日本料理の醍醐味。季節感を意識した装いなら、なお粋。

〈茂幸〉

東京都渋谷区西原2-17-3 TEL 070 1372 0319。18時〜21時LO。不定休。

小寺慶子

こでらけいこ 肉を糧に生きる肉食系ライターとして雑誌やWebに執筆。今号のスイーツ特集では、本格的な夏に先駆けてかき氷三昧。順調に水(蜜!?)太り中。

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