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ドリス・ヴァン・ノッテンの“秘密の庭”が明らかに!|石田潤の In the mode
January 12, 2018 | Fashion, Culture | casabrutus.com | (c)2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE text_Jun Ishida editor_Keiko Kusano
3年越しで実現したドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリー。彼の着想の源で、秘密とされた自宅の庭にもカメラが入りました。
ドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリー映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』が公開される。メディアに積極的に出ることのなかったドリスのドキュメンタリーが作られたことにまず驚いたが、映画を見ると改めてその完璧主義とも言える美意識にため息が出た。3年間、ドキュメンタリーの製作をオファーし続けたというライナー・ホルツェマー監督は、2015年から1年にわたりドリスに密着し、アントワープにあるアトリエや彼が支援するインドの刺繍工房で、そのコレクションが作られるプロセスを追った。
ドリスのクリエイションの秘話が明かされるのは本作の見どころの一つだが、カーサ ブルータス読者には彼の自宅、そして庭にも注目してもらいたい。2014年4月号の特集『植物と暮らす完全マニュアル』(カーサブルータス特別編集ムック『植物と暮らすスタイルブック』再録)に掲載されたドリスのインタビューでも触れられているが、彼のコレクションのインスピレーションであり、“秘密”とされた庭の全貌が、ついに映画の中で明らかになる。
英国式庭園を思わせる庭は花々に溢れ、白鳥が憩う池があったり、ドリスが日々の食材を調達する菜園があったりと夢のように美しい。パートナーのパトリックとともに部屋に活ける花を選び、菜園の野菜を使って料理をするドリスの生活は、まさに“Art de Vivre(暮らしの芸術)”という言葉がふさわしい。
ドリスが1996年以来住んでいるこの家は、1840年代に建てられた邸宅だ。彼はこの敷地を入手すると、荒れ果てた庭を元の状態に戻すため、ランドスケープアーキテクトのエリック・ドントやNYハイラインの植栽も手がけたピエト・オウドルフに修復を依頼した。近年ではドリス自らが庭の設計をしているという。そして自宅の内装はクラシックな英国趣味。飾られている絵画まで、クラシックというのがまたドリスらしい。
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illustration Yoshifumi Takeda
石田潤
いしだ じゅん 『流行通信』、『ヴォーグ・ジャパン』を経てフリーランスに。ファッションを中心にアート、建築の記事を編集、執筆。編集した書籍に『sacai A to Z』(rizzoli社)、レム・コールハースの娘でアーティストのチャーリー・コールハースによる写真集『メタボリズム・トリップ』(平凡社)など。