フレッドペリーの家

表参道の路地に誕生した〈フレッドペリーショップ東京〉。ノコギリ屋根のレンガ造りの建物の中には、イギリスの工場や図書館のような気持ちのよい空間スケール感が。

約45,000個のレンガを積み上げた建物外観。周囲には家の庭のような植栽が施された。

表参道の路地に現れるダークチョコレートカラーのブリック(レンガ造り)建築。まるでずっとそこにあったかのように周囲の風景に馴染んだ建物は、イギリスのシンボルともいえるブランド〈フレッドペリー〉の旗艦店だ。今春誕生したこの店のデザインを手がけたのは、ジェネラルデザインの大堀伸。ブランドのDNAを伝える日本初の旗艦店ということもあり、フレッドペリーの「Do's(そうである)」「Donʼts(そうでない)」の一覧をまとめた表を共有することから設計はスタートしたという。「典型的なイギリスものの模倣はやりたくないというのが互いにあったので、イギリス的要素をどの程度、デザインに取り入れていくかがポイントでした」と大堀は振り返る。

2年の歳月をかけて完成したのは、イギリスの工場を思わせるようなノコギリ屋根が特徴的なブリック建築だ。グランドフロア(地下1階)、1階、中2階、2階の四層からなる店内は、各フロアから他のスペース全体が見渡せる巨大なワンルームのようなつくりになっていて、北向きの天窓から入る光が店内全体を柔らかく見せている。

「イギリスの古い工場や図書館が持っている気持ちいい空間のスケール感を大事にしました。歴史のあるブランドなので、短いスパンで考えるより、時間がたつにつれ味わいの出てくる素材がふさわしいと考え、外壁には汚れや白華現象による経年変化が楽しめるレンガを使用しています」

長手積みの層と小口積みの層を交互に繰り返す伝統的なイギリス積みで積み上げられたレンガは、三河安城で作った特注品だ。フレッドペリーのチームと大堀で工場に赴き、表参道の街にふさわしい色ということで、イギリスで一般的な黄色ではなくダークチョコレートカラーを選んだ。

表参道に通じる道に面した1階とキャットストリートから続く道に面したグランドフロアに、それぞれ入口を設けたこともこの店の特徴の一つ。さらに、隣接する店舗との間の遊歩道の道幅を広げることで、店舗の内外の回遊性を高めている。

「敷地の高低差を生かして2つの入口を設けました。また吹き抜けを持つスキップフロアにすることで、店内でも高低差を自然に見せています。全体としては一つの空間なのですが、各フロアが異なった機能を持つので、床に用いる素材を変え、フロアごとの雰囲気を演出しています」

吹き抜けになったグランドフロアには、天窓からの柔らかな光が。一日中安定した光の入る北窓は、画家のアトリエとしても好まれる。

レギュラーラインが揃うグランドフロアは研ぎ出しモルタルとオーク材のフローリングで構成し、エクスクルーシブなアイテムが並ぶ1階はインドの砂岩を、アーカイブアイテムを展示しイベントスペースとしても機能する中2階と顧客用スペースとなる2階にはブランドのマークともなっている月桂樹の木を用いている。

さまざまな個性を内包しながら、一つの空間として仕上がった〈フレッドペリーショップ東京〉。それはまさしく、個を尊重しながらも絆によって結ばれている一つの家族の家にも似ている。

FRED PERRY SHOP TOKYO

周囲の喧騒を感じさせない静かな住宅街に佇むショップ。入口ではブランドアイコンのローレルリースが迎えてくれる。外観や植栽がどう変わっていくのかも楽しみだ。

東京都渋谷区神宮前5-9-6
TEL 03 5778 4930。11時〜20時。不定休。公式サイト