監督・奥山大史が語る7人のクリエイターの旅。エルメス製作ドキュメンタリー撮影秘話|石田潤のIn The Mode | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

監督・奥山大史が語る7人のクリエイターの旅。エルメス製作ドキュメンタリー撮影秘話|石田潤のIn The Mode

オンラインで配信中のエルメスのショートドキュメンタリーフィルム『HUMAN ODYSSEY それは、創造を巡る旅。』。田根剛、新城大地郎、井口理ら7人のクリエイターが職人を訪ねる旅の姿を、新進気鋭の監督・奥山大史はいかに捉えたか?

「Episode1」に登場した書道家の新城大地郎(右)と監督の奥山大史(左)。
7人のクリエイターが日本のクラフトマンシップと出逢う旅の模様をとらえたショートドキュメンタリーフィルム『HUMAN ODYSSEYそれは、創造を巡る旅。』。オンラインで毎週金曜に1話ごと公開されていくこの作品の総監督を務めたのは25歳の奥山大史だ。

書道家(新城大地郎)、建築家(田根剛)、ミュージシャン(井口理)、ロボットクリエイター(高橋智隆)、写真家(木村和平)、フレンチシェフ(目黒浩太郎)、俳優(池松壮亮)というジャンルの異なる7人が、日本各地に職人たちを訪ねる姿を淡々と、そして清々しく捉えた。

MV作品を多く手掛け、初めて監督した長編映画作品『僕はイエスさまが嫌い』(2018年)ではサンセバスチャン国際映画祭最優秀新人監督賞を受賞したという映像界の期待のホープでもある。ドキュメンタリーを撮るのは今回が初めてという奥山に、撮影秘話を聞いた。
──まずは、この作品の制作がどのように始まったのか教えていただけますか?

今年の?月に、企画チームから、エルメスの年間テーマである「HUMAN ODYSSEY」にまつわる映像を作りたい、という話をいただきました。その時点ではドキュメンタリーという話はなかったですね。要望を聞き、それをもとに企画を考え提案しました。

──要望はどのようなものだったのですか?

完成したものとちょっとずつ違うのですが、最初は7人の若者たちが一斉に旅をする企画だったんです。年間テーマから生まれたラブキャビンという乗り物に全員が乗って、日本をあちこち旅をする。そのうちに一人が乗り物から降りて、誰かに出会って……という。ドキュメンタリーというよりはリアリティショーに近い感じでした。コロナ禍が続く中で、7人がひとつの乗り物にぎゅっと乗っている姿がどう見えるのかも考えました。もちろん、旅をして誰かに出逢うこと自体が悪いことではないので、今の時代として違和感のないものにしたいなと。
「Episode 1」は新城大地郎による故郷の沖縄・宮古島の旅。新城はインド藍を育てる宮古上布作家・砂川美恵子を訪ねる。
「長生きするものは、多くを知る。旅をしたものは、それ以上を知る」というアラブのことわざがあるのですが、この話を受けて思い出した。旅を通して何か職人から学ぶクリエイターのストーリーを軸にしたい、だからリアリティショーではなくて、ドキュメンタリーにしたい、と提案しました。

エルメスが本当に伝えたいことが何なのかを考えると、彼らがずっと大事にしている職人技術なんですよね。日本の技術、それに向き合っている人たちのメンタリティ、技術が継承されてゆくこと、そしてただ継承するだけでなく革新や革命を取り入れてゆくこと。伝統技術にまつわる歴史的背景を伝えていくことも大事です。

最初に公開された書道家の新城大地郎さんの回では、伝統技術の背景にあるストーリーも伝えたくて、人頭税という、普通は広告的なものには出てこない言葉も取り入れました。ドキュメンタリーを作る上で、今取り上げるべきこと、目を背けることではないことにも向き合いたいというのが個人的にあって、旅先には沖縄やアイヌ文化発祥の地である北海道の二風谷が含まれています。
インド藍を使った作品制作に取り組む新城。
──クリエイターの方々が訪れる場所は奥山さんが提案したのですか?

こちらが提案したものもありますが、撮影する上で一番大事にしたのが、旅をする人に本当に行きたいと思っているところに行ってもらう、ということでした。何に興味があるか?どこに行きたいか? 誰に会いたいか? それを聞き続けた上で出てきたものから決めています。
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