DESIGN
新定番が誕生! 深澤直人が見出した益子焼の“ボテっ”の魅力。
February 2, 2019 | Design | casabrutus.com | text_Housekeeper
深澤直人のディレクションによって生まれた、益子焼の新定番《BOTE&SUTTO》。「どんなものを益子焼と言うのだろう」という疑問を前に、デザイナー・深澤直人が行き着いた答えは、“ボテっ”と“スッと”でした。
1936年に柳宗悦が設立した〈日本民藝館〉の現館長を務める、デザイナー・深澤直人。東日本大震災以後、観光客の減少に悩む益子町の「まちづくりアドバイザー」を引き受け、益子の土地の持つ魅力を再発見する役を担ってきた。益子といえば、民藝運動を率いた一人である濱田庄司が1924年に窯を開いた地であり、益子焼で全国的に広く知られている。現在では400もの窯元や作家が活動しているが、だからこそ「これが益子焼」という明確な定義はなされず、幅広いものづくりが行われている。
《BOTE&SUTTO》は、そうした町が誇る民藝・益子焼の、新たなアイコンとなるべく誕生した。土・釉薬は益子のものを使用。カップ、飯碗、プレート、ボウルなど様々な用途・大きさの食器を、益子の伝統を引き継ぐ〈濱田窯〉〈清窯〉〈道祖十和田窯〉の3つの窯元が作陶している。型は用いておらず、すべてが手作り。深澤がディレクションしたサイズ、色などのガイドラインに沿って、各窯元が腕をふるっている。
「益子焼らしさというものを改めて考えてみたときに、“ボテっ”とした魅力があると思ったんです。全体として丸みのあるフォルムに、どこか温かみがあって、力強さが感じられる。益子焼の代名詞とも言える濱田庄司の器がそもそもそうであったように、どっしりとした厚みもあってね。そんな“ボテっ”としたものに、コントラストを生むような“スッと”したものを足してみる。そうすることで、益子焼らしさが活きてくるんじゃないかと思いました」(深澤)
釉薬は、益子で用いられている7種類のうち、定番の黒と並白を採用。若い職人たちからは「どうしてそんな当たり前のものを使うのか」という声も出たが、あえて王道の2色に限った。
《BOTE&SUTTO》は、そうした町が誇る民藝・益子焼の、新たなアイコンとなるべく誕生した。土・釉薬は益子のものを使用。カップ、飯碗、プレート、ボウルなど様々な用途・大きさの食器を、益子の伝統を引き継ぐ〈濱田窯〉〈清窯〉〈道祖十和田窯〉の3つの窯元が作陶している。型は用いておらず、すべてが手作り。深澤がディレクションしたサイズ、色などのガイドラインに沿って、各窯元が腕をふるっている。
「益子焼らしさというものを改めて考えてみたときに、“ボテっ”とした魅力があると思ったんです。全体として丸みのあるフォルムに、どこか温かみがあって、力強さが感じられる。益子焼の代名詞とも言える濱田庄司の器がそもそもそうであったように、どっしりとした厚みもあってね。そんな“ボテっ”としたものに、コントラストを生むような“スッと”したものを足してみる。そうすることで、益子焼らしさが活きてくるんじゃないかと思いました」(深澤)
釉薬は、益子で用いられている7種類のうち、定番の黒と並白を採用。若い職人たちからは「どうしてそんな当たり前のものを使うのか」という声も出たが、あえて王道の2色に限った。
<strong>・“BOTE=ボテっ”</strong>
<strong>・“SUTTO=スッと”</strong>
かつて柳宗悦やバーナード・リーチらが全国を巡り、作り手たちに指導を行ったように、また柳宗理が出西窯でプロダクトを生み出したように、デザイナーと窯元との協働は民藝の歴史の中で度々行われてきたが、益子では、今回が初めてのこと。構想から約2年、各窯元が幾度もプロトタイプを作ることを通して深澤との対話を深め、益子焼の新定番と言えるものにたどり着いた。
黒の釉薬は、通常の益子焼よりもずっと深い色合いだ。本来はハガキほどの厚みで塗り、焼成後に茶の色味が出てくるのを楽しむところを、深澤は「真っ黒にしてほしい」とリクエスト。飴のようにドロドロとした濃さの釉薬を垂れるほどたっぷり使用することで、今までにない色が生まれた。並白は「透き通って全てを見られてしまう怖い色」として職人たちはなかなか前面に出さないが、あえて素地に近いような淡い風合いで用いている。
また、“ボテっ”の縁の部分は、親指を引っ掛けるようにして厚みを生む、技術的に高度なもの。しかし、深澤は「こうしたフォルムは、世界的に探しても意外と見つからない。定番になる余地があると感じた」と、細部までこだわった。“スッと”の縁も、「普通になりすぎちゃいけない」という深澤の意図の通り、独特の微妙なカーブが生み出されている。
黒の釉薬は、通常の益子焼よりもずっと深い色合いだ。本来はハガキほどの厚みで塗り、焼成後に茶の色味が出てくるのを楽しむところを、深澤は「真っ黒にしてほしい」とリクエスト。飴のようにドロドロとした濃さの釉薬を垂れるほどたっぷり使用することで、今までにない色が生まれた。並白は「透き通って全てを見られてしまう怖い色」として職人たちはなかなか前面に出さないが、あえて素地に近いような淡い風合いで用いている。
また、“ボテっ”の縁の部分は、親指を引っ掛けるようにして厚みを生む、技術的に高度なもの。しかし、深澤は「こうしたフォルムは、世界的に探しても意外と見つからない。定番になる余地があると感じた」と、細部までこだわった。“スッと”の縁も、「普通になりすぎちゃいけない」という深澤の意図の通り、独特の微妙なカーブが生み出されている。
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