柳宗悦×深澤直人の審美眼が光る「民藝展」|土田貴宏の東京デザインジャーナル | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

柳宗悦×深澤直人の審美眼が光る「民藝展」|土田貴宏の東京デザインジャーナル

21_21 DESIGN SIGHTで、デザイナーの深澤直人がディレクションする「民藝展」が開催されている。「健康な美」「尋常な美」の宝庫である民藝というものを、現代的な直観を生かしてとらえた斬新な展覧会だ。

「民藝展」をディレクションしたデザイナーの深澤直人。左後ろに見える《柳デスク》は柳宗理の作品、正面奥の《柳型茶卓》は柳宗悦の意匠。
あの日本民藝館の所蔵品を、あの深澤直人が選ぶ。それだけで、この展覧会には大きな意義がある。日本民藝館を創立したのは、民藝という言葉の発案者で、思想家や蒐集家としても稀代の存在だった柳宗悦。彼が自ら集めた1万7,000点に及ぶ作品が、その所蔵品の中核をなしている。民藝とは、民衆が使うために民衆によって作られた工芸を指す。ただし日本民藝館は、単に各地の民藝を網羅した博物館ではない。「どこまでも品物の美しさを主にした立場をとる」と柳が述べたように、早くから各地を訪ねて膨大な量の民藝に触れた彼は、高い審美眼によって究極的に美しい逸品だけを手元に置いた。だから日本民藝館の所蔵品は、同じ時代、同じ地域に生まれたものの中でも別格の優品揃いなのだ。
「屈託のないキャラクタリスティックな表情に巡り会って、微笑んでいる柳 宗悦の顔が浮かんで見える」と深澤直人の言葉にある。この展覧会は柳と深澤の時代を超えたコラボレーションとも言える。
日本民藝館とは対照的な直線的な展示会場に、深澤が選んだ逸品が並ぶ。
「屈託のないキャラクタリスティックな表情に巡り会って、微笑んでいる柳 宗悦の顔が浮かんで見える」と深澤直人の言葉にある。この展覧会は柳と深澤の時代を超えたコラボレーションとも言える。
日本民藝館とは対照的な直線的な展示会場に、深澤が選んだ逸品が並ぶ。
そして深澤直人は、世界の第一線で活躍するデザイナーとしてすでに説明不要の存在だ。日常の中に普通に存在するものの中から、無意識のうちに人が好んでいる形や機能を見出すことについて、彼もまた超人的な目をもっている。だからこそ無印良品や世界的な家具ブランドを通して、暮らしの中に溶け込みながら愛着を抱かせるものを数多く発表してきた。今回の展覧会は、21_21 DESIGN SIGHTのディレクターのひとりであり、2012年から日本民藝館館長も務める彼が、以前からあたためていた企画をついに実現させたものだ。
深澤が「民藝はヤバイ」と感じたという1940年代に島根で作られた《火鉢》や、おおらかな丸さが美しい朝鮮時代の《白磁壺》などが並ぶ。
19世紀に朝鮮で作られた《鉄釉家型水滴》は、深澤のお気に入りだ。
中央の《拭漆縞片口》は19世紀の朝鮮半島のもの。柳の蒐集品は日本の民藝が中心だが、朝鮮のものも多く、他にも世界各国のものが含まれている。
色合いは渋いが、それぞれに深い趣と生命感を感じさせる黒釉や鉄釉の陶器。左奥の1点はイギリスの陶芸家、ルーシー・リーの作品。
明治時代の《丹波布夜具地》。草木染めした手紡ぎの糸を使ったものだが、チェック柄はモダンにも見える。
深澤がデュシャンの泉を連想したという《白釉便器》。
深澤が「民藝はヤバイ」と感じたという1940年代に島根で作られた《火鉢》や、おおらかな丸さが美しい朝鮮時代の《白磁壺》などが並ぶ。
19世紀に朝鮮で作られた《鉄釉家型水滴》は、深澤のお気に入りだ。
中央の《拭漆縞片口》は19世紀の朝鮮半島のもの。柳の蒐集品は日本の民藝が中心だが、朝鮮のものも多く、他にも世界各国のものが含まれている。
色合いは渋いが、それぞれに深い趣と生命感を感じさせる黒釉や鉄釉の陶器。左奥の1点はイギリスの陶芸家、ルーシー・リーの作品。
明治時代の《丹波布夜具地》。草木染めした手紡ぎの糸を使ったものだが、チェック柄はモダンにも見える。
深澤がデュシャンの泉を連想したという《白釉便器》。
深澤は民藝館の収蔵庫に自由に入れるという館長の特権のもと、所蔵品の中から直観で146点の展示品を選んでいったという。民藝から受ける印象について、彼はこう話している。

「収蔵庫では本当にビックリさせられるんです。なんでこんな形になるんだ、なんでこんなにかわいんだ、という強烈なインプレッションがある。民藝ヤバイんじゃないか、と。それを来場する方にも感じてほしい」

会場構成は、ものが生まれた時代やジャンルよりも、彼の直観を反映するようなレイアウトを取り入れた。それぞれの展示台には深澤によるリアルな言葉が添えてあり、独特の視点を伝えている。
深澤所蔵の民藝の作品が並ぶコーナー。中央は特に気に入っているもののひとつで、中国のコレクターから買い求めた狛犬。