マリメッコのデザイナーから陶芸家に転身! 石本藤雄が福岡で発表する新作とは? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

マリメッコのデザイナーから陶芸家に転身! 石本藤雄が福岡で発表する新作とは?

〈マリメッコ〉のデザイナーとして活躍した石本藤雄さんは、〈マリメッコ〉の現場を離れた後も、ヘルシンキで陶芸家として活躍しています。〈アラビア〉のアートデパートメントにあるアトリエを訪ね、陶芸家として歩み始めたきっかけや、5月から福岡の太宰府天満宮で開催される展覧会について話を聞きました。

この日、久しぶりにアトリエに足を運んだという石本さん。梅の実、桃の実、冬瓜をイメージした展示のための作品が並ぶ。テーブルに置かれた魚釣り用のカゴは74年、日本に帰った時に青山の〈VAN〉のオレンジハウスで購入したもの。

焼き物への潜在的な興味。

1974年から2006年まで〈マリメッコ〉のデザイナーとして400に及ぶ柄を生み出してきた石本藤雄さん。東京芸術大学美術学部工芸科を卒業後、繊維問屋の市田に入社。1970年、30歳になる直前に世界一周旅行に出る決意をし、アメリカ、カナダ、イギリス、デンマークからパリへと巡るコースをヘルシンキ行きに変更。そのままフィンランドに残り、〈マリメッコ〉の姉妹会社〈ディッセンブレ〉でデザイナーとして働いた後、1974年に〈マリメッコ〉本社のデザイナーに就任している。多数のデザイン賞を受賞するテキスタイル・デザイナーとして働きながら、陶芸を始めたのは80年代。実は石本さんのご出身が焼き物のふるさとだったため、潜在的に興味があったと言う。
石本さんのアトリエの入口。〈アラビア〉アートデパートメント協会が2003年から運営する独立団体にあり、同じフロアで8名が制作活動を続けている。
北欧の柔らかな光が射す明るいアトリエ。
9階にあるアトリエからの眺め。取材を行ったのは3月末。まだ雪が残り、春の到来が待ち遠しいヘルシンキ。
太宰府天満宮で展示される作品《冬瓜》。「日本の花や植物の方がしっくりくるね。記憶で物を作っていると思います」と石本さん。
石本さんのアトリエの入口。〈アラビア〉アートデパートメント協会が2003年から運営する独立団体にあり、同じフロアで8名が制作活動を続けている。
北欧の柔らかな光が射す明るいアトリエ。
9階にあるアトリエからの眺め。取材を行ったのは3月末。まだ雪が残り、春の到来が待ち遠しいヘルシンキ。
太宰府天満宮で展示される作品《冬瓜》。「日本の花や植物の方がしっくりくるね。記憶で物を作っていると思います」と石本さん。
「私の家は農家だったのですが、昭和10年前後までは景気がよかった砥部焼の里でもありました。父は松林をみかん畑に開拓しましたが、子供の頃に人が入っていけるくらいの大きな登り窯があったのを覚えています。実家は松の葉の触れ合う音がするような静かなところにあって、当時、家の裏手には焼き物のかけらがごろごろしていました。後から調べてわかったのですが、1700年代に建てられた砥部焼の創設者である杉野丈助の家は、私の育った家のあたりの山の麓にあったそうです」

1つのことに邁進するよりも、色々なことにチャレンジするタイプという石本さん。80年代の日本の焼き物ブームで大分県の小鹿田焼の産地を訪ねたり、沖縄では70年代に制作されたアンティークのやちむんを購入し、収集するなどすっかり陶芸の虜になっていった。