DESIGN
ヘラ・ヨンゲリウスが仕掛ける異色のインスタレーション。
『カーサ ブルータス』2018年2月号より
January 29, 2018 | Design, Art, Travel | a wall newspaper | photo_Jiro Kamata text_Yumiko Urae
ミュンヘンの〈ピナコテーク〉で、デザインとアートの垣根を越える、冒険的な試みが行われています。
ヘラ・ヨンゲリウスとルイーズ・ショウエンベルクは、2015年ミラノサローネで「ビヨンド・ザ・ニュー デザインの理想への探求」というマニフェストを発表した。デザイン界で名を馳せるオランダ出身の二人は、デザイン業界のエスカレートする新製品崇拝の風潮に疑問を投げかけている。
17年秋からミュンヘン〈ピナコテーク・デア・モデルネ〉でスタートした展示は、このマニフェストをベースにした、世界で最も古い1万点を超えるデザインコレクション「ノイエザムルング(ニューコレクション)」とのコラボレーション。4台のカラフルな光と影のインスタレーションやパタノスタ(縦に並んだ複数の展示台がくるくると回転して入れ替わる自動循環プラットフォーム)を利用した作品など、この美術館だからこそできる動きのある展示だ。美術家がある特定の場所で表現する“サイトスペシフィックアート”の手法をデザイン展でユニークに実現している。
17年秋からミュンヘン〈ピナコテーク・デア・モデルネ〉でスタートした展示は、このマニフェストをベースにした、世界で最も古い1万点を超えるデザインコレクション「ノイエザムルング(ニューコレクション)」とのコラボレーション。4台のカラフルな光と影のインスタレーションやパタノスタ(縦に並んだ複数の展示台がくるくると回転して入れ替わる自動循環プラットフォーム)を利用した作品など、この美術館だからこそできる動きのある展示だ。美術家がある特定の場所で表現する“サイトスペシフィックアート”の手法をデザイン展でユニークに実現している。
「ビヨンド・ザ・ニュー」真のイノベーションを求めて
展示のタイトルでもある「ビヨンド・ザ・ニュー(新しさを超えて)」のニューという言葉は、すなわち、イノベイティブであるかどうかだとルイーズは語る。
「現在の消費社会では、同じスタイルのデザインのバリエーションが出回っているだけのものが多い。新しいデザインが本当に革新的なのか、それとも世の中に新しいという名ばかりのものがまた増えるだけなのか、というのが私たちの議論です。このマニフェストは、コンテンポラリーデザインが過剰生産や行き過ぎたノベルティーなど間違った方向へ進むことを危惧して、高い理想を嘆願したものなのです」
展示のタイトルでもある「ビヨンド・ザ・ニュー(新しさを超えて)」のニューという言葉は、すなわち、イノベイティブであるかどうかだとルイーズは語る。
「現在の消費社会では、同じスタイルのデザインのバリエーションが出回っているだけのものが多い。新しいデザインが本当に革新的なのか、それとも世の中に新しいという名ばかりのものがまた増えるだけなのか、というのが私たちの議論です。このマニフェストは、コンテンポラリーデザインが過剰生産や行き過ぎたノベルティーなど間違った方向へ進むことを危惧して、高い理想を嘆願したものなのです」
デザイナーのヘラと教育者のルイーズ。彼女たちの一貫した姿勢は、とにかくリサーチを怠らないということ。
「色やテキスタイルを時代のニーズに合わせたりと、デザイナーとして産業と消費者をつなぐフィルターになりたいと考えてきました。17年間、何が私たちの社会に欠けているかを考え、実験を重ね、新しいアイデアを提示してきたのです」とヘラは自身のキャリアを振り返る。
またルイーズは、評論家・教育者として、過去と未来を配慮し、知識を常に時代に合わせてアップデートしているという。
「決定的な回答はないのです。ただ、世界の変遷に合わせて、私たちはデザインを再定義する必要があると思います」
「色やテキスタイルを時代のニーズに合わせたりと、デザイナーとして産業と消費者をつなぐフィルターになりたいと考えてきました。17年間、何が私たちの社会に欠けているかを考え、実験を重ね、新しいアイデアを提示してきたのです」とヘラは自身のキャリアを振り返る。
またルイーズは、評論家・教育者として、過去と未来を配慮し、知識を常に時代に合わせてアップデートしているという。
「決定的な回答はないのです。ただ、世界の変遷に合わせて、私たちはデザインを再定義する必要があると思います」
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