DESIGN
長山智美 デザイン狩人|ボルダロ・ピニェイロの陶器
『カーサ ブルータス』2018年2月号より
January 17, 2018 | Design | Design Hunter Tomomi | text_Tomomi Nagayama photo_Satoshi Nagare
「グリム童話」しかり「アンデルセン」しかり。森だの動物だの少女だのとお道具立ては一見ピースフル。がしかしヨーロッピアンメルヘンてのには、いたいけなお子たちに「世の中そんな甘くないのよ♡」てなオトナの世界を知らしめてくださります暗黒面てのが必ず仕込まれてますよに存じます。
ワタクシがパリの展示会で遭遇し、めっちゃ気になってましたポルトガルのリアル動物陶磁器メーカー〈ボルダロ・ピニェイロ〉もまたしかり。本来ならカワユイはずの小鳥やらリスやらニャンコやらに何やら漂います不穏な気配。まさに黒い森に生息してそな動物たちのオンパレードに「昔むかしポルトガルのとある村に……」から始まり「魔女の化身の黒ネコは手下の動物たちを使い、そのラブリ〜なビジュアルと美味しそな毒イチゴでもって子供たちを森におびき寄せ黒魔術の生贄にしましたとさ。めでたしめでたし♡」てなグリミータッチなストーリーが浮かんできましたの。おお、もしやコレて近頃のライフスタイル誌などでもてはやされてます「ストーリーのあるモノ」てのかしら?けど心温まるストーリーよかホラーのほにずっと心惹かれてしまいますワタクシ、だからちっともシアワセがやってこないのかしら……。
長山智美
ながやまともみ インテリアスタイリスト。ボルダロのリスが欲しけれど深夜に目が合ってしまいましたらホラーですゆえどこに置いとけば良いかしら、と思案ちう。朝お隣に寝てましたらどーしましょ…。