【RAIZIN presents】集中連載! nendo 佐藤オオキのひらめきのスイッチ 小山薫堂 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

【RAIZIN presents】集中連載! nendo 佐藤オオキのひらめきのスイッチ 小山薫堂

『カーサ ブルータス』2017年10月号

佐藤オオキがインタビュアーとなって、毎号、話題のクリエイターをゲストに招く集中連載。放送作家の小山薫堂さんを迎えた今回がフィナーレです。

今、ひらめきました。佐藤さんにデザインしてほしいのは…。

小山薫堂さんと佐藤オオキとの最初の出会いは、まだ佐藤が建築を学ぶ大学院生だった頃。建築家としての佐藤のデビュー作となる住宅が、小山さんが放送作家をしていた番組で取り上げられたのだ。それ以来、いくつもの接点があったふたりは、現在も一緒に複数のプロジェクトを進めている。世代や仕事のスタンスは違っても、なぜか気の合う間柄のようだ。

シャワーを浴びた瞬間に情報の断片が発想になる。

佐藤 小山さんには何かとお世話になっています。4月にはミラノでも、ひらめきについてお話しいただきましたよね。確かお風呂がそのための場所になっているとか。
小山 41℃のお風呂に約1時間入るのが、朝の習慣なんです。朝のメールチェックもお風呂の中で、バスタブのフタを机代わりにiPadに向かいます。そこで汗をかいた後、シャワーを浴びた瞬間にアイデアがひらめくことがとても多い。自分に暗示をかけているだけかもしれませんが。
佐藤 でも、こうすれば必ずこうなるっていう思い込みは大事ですよね。昼間は打ち合わせが多いと思いますが、そこで情報を取り込んでおき、シャワーのときにバチッとはまる感じでしょうか。小山さんは同時進行しているプロジェクトも多いですよね。ある仕事で思いついたことを、別の何かで使うようなこともありますか?
小山 仕事の中で得た視点が、他の仕事に新しい発想をもたらすことはあります。例えばコーヒー1杯でも、視点を変えると思考が膨らみますね。飛行機の中では苦味を感じにくいので、コーヒーの味も違うそうです。そのコーヒーを地上で生かすには、とか。
佐藤 最近、キャンピングカーのプロジェクトを始めたと聞きましたが、それはどんな経緯で?
小山 思いついたきっかけは、豪華客船のクルーズです。贅沢なようだけど、宿泊費、食費、交通費がすべて込みなので実は効率がいい。クルマに寝泊まりするのは、それに近いんです。昼間は観光して夜は飲みに行くと、ホテルでは寝るだけですからね。また以前、ニュージーランドを旅したとき、現地ではキャンピングカーを借りるのが普通で、それがとてもよかったというのもあります。あと民泊は、地方では他人を泊めるのに抵抗がある家も多い。でも民家の敷地をキャンピングカーに借すのならハードルが低い。地元の人と旅人の間に交流も生まれ、地域活性化にもなる。そんなウィンウィンの関係を考えるのが好きです。
佐藤 クルーズ、ニュージーランド、民泊と、いくつもの要素を結びつけた結論なんですね。こういう仕事のクライアントは?
小山 赤字でなければいいと考えて、自分たちの会社で運営します。この活動が受け入れられたら、何かいいことにつながるだろうという漠然とした希望はありますが。
2012年から小山薫堂さんが主人を務める〈下鴨茶寮〉は、1856年創業の伝統ある料亭。
nendoが下鴨茶寮のためにデザインした《料亭の粉しょうゆ》の容器は、ひしゃくがモチーフ。
2012年から小山薫堂さんが主人を務める〈下鴨茶寮〉は、1856年創業の伝統ある料亭。
nendoが下鴨茶寮のためにデザインした《料亭の粉しょうゆ》の容器は、ひしゃくがモチーフ。