使えなくても意味がある、フォルマファンタズマのデザイン。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

使えなくても意味がある、フォルマファンタズマのデザイン。

オランダを拠点とする二人組、スタジオ フォルマファンタズマは小麦粉、魚の皮、原始的なプラスティックなど日用品では見かけない素材を多用する。彼らが発想するのは、使うためではなく、想像をふくらませるためのデザインだ。

アンドレア・トリマルキ(左)とシモーネ・ファルジン(右)
Q どの作品も見慣れない素材でできていますね。

2010年発表の〈Autarchy〉は、小麦粉に農業廃棄物を混ぜて作った器のシリーズです。野菜や香辛料で色をつけました。フェンディのコミッションで制作した〈Craftica〉は、魚の皮や動物の内臓などを使っています。今年発表した〈De Natura Fossilium〉では、シチリア島のエトナ火山の溶岩を主な素材として、ガラスや真鍮など多くの職人とコラボレーションしました。
〈Autarchy〉は小麦粉を主成分に作られたシリーズ。陶磁器のように焼成しないサスティナブルな器で、大量消費社会とは違う世界のあり方をイメージさせる。
Q そんなアイデアをどうやって発想するのですか?

たとえば〈Autarchy〉は、パンを作るのと同じ素材で身の回りのものを作る自給自足の生活を想定し、その架空のストーリーに基いて一連の器をデザインしました。一方、〈Craftica〉はフェンディの高級な皮革製品と同じような価値を、廃棄物にしかならない素材を使って作り出そうと試みたものです。ありふれた素材でも、その背景や歴史を探り、手間ひまかけて加工するとすばらしい魅力が備わります。僕らのすべての作品には何らかの物語が潜んでいるのです。
魚の皮、動物の内臓、骨、キズのある皮革などを素材に使った〈Craftica〉。価値のない素材が、フォルマファンタズマの手にかかると存在感のあるオブジェになる。
植物の樹液などを原料にした〈Botanica〉。石油が採れなくなった時代を想定し、18世紀の原始的なプラスティックをリサーチしてデザインされた。フォルマファンタズマの2人はイタリア出身で、オランダのデザインアカデミー・アイントホーフェンで学び、現在はアムステルダムを拠点に活躍中。
Q 手仕事の質の高さにもこだわりがある?

高度な技術を持つ職人とのコラボレーションはとても重要だし、自分たちで革をなめすような作業も重視しています。クラフトはいわば知恵の塊ですが、人から人へ伝承されるもので、文字だけでは伝えられません。デザイナーはその価値を理解し、サポートし、未来の世代に継承すべきです。


Q ただしフォルマファンタズマの作品は、繊細すぎて実際には使えなさそうですが…。

民俗博物館の展示品を見ると、それが使えるかどうかに関係なく、人間の暮らしや歴史について考えを深めることができますよね。ものの存在意義は、機能だけではないのです。ものがあふれる現代こそ、新しいコンセプトを表現することに存在意義があると僕らは考えています。
〈Craftica〉シリーズ、牛の膀胱から作られた水差し。

Movi­e Director: Genki Ito

「Metamorphosis by modern alchemists 現代の錬金術師たちが見せる世界の変容」

●〈シボネ青山〉

港区南青山2-27-25 2F
TEL 03 3475 8017。〜11月3日。11時〜21時。展示期間中無休。入場無料。公式サイト