国産針葉樹を活用した清々しいラインナップ。|〈カリモク家具〉の新しい木の家具。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

Vol.4 MAS(マス)

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WKアームチェア01(2021)
熊野 亘

4脚までスタッキングが可能なアームチェアは、ダイニングをはじめオフィスなどでの使用も想定。枡のイメージを生かした、すっきりした印象の椅子だが、要所に曲線を取り入れて座り心地を高めた。〈MAS〉のコレクションは左のバースツールのほか、テーブルやベンチなどのアイテムも揃う。88,000円。

「枡」から着想を得た日本の森のための家具。

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御代田にできる新しい家の周囲では仲間の家の建設が進む。一緒にデザイン活動を行う「御代田プロジェクト」も始動中。
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自宅の周辺に広がっている針葉樹林。こうした人工林の有効活用は、森林のサイクルの適正化に役立つ。
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〈MAS〉の座面裏。針葉樹は広葉樹に比べて強度が低いため、部分的に広葉樹のパーツを用いる工夫も。
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「いろんな経験をしたけれど、もう一度、フィンランドで木工を勉強した頃の純粋さでデザインに取り組んでいきたい」と熊野。
デザイナーの熊野亘は、軽井沢に近い長野県御代田に拠点を置いて活動している。仲間と取得した土地の一角には、新たな自宅兼工房が来年完成する予定だ。自然に近い環境で、生活の中からデザインを考えたいという。

彼がデザインディレクターを務める〈MAS〉は、そんなライフスタイルとどこかリンクする。〈MAS〉は〈カリモク家具〉が2018年に取り組み始めたコレクションで、国産ヒノキを用いたラインナップが特徴。スギやヒノキといった針葉樹は、日本では第二次大戦前から植林が進んだが、住宅の西洋化や輸入材の増加により需要が大幅に減少した。森林を健やかに保つためには、その活用が欠かせない。こうした問題意識が〈MAS〉のプロジェクトの起点になった。つまり〈MAS〉は「日本の森のための家具」なのだ。

「〈カリモク家具〉との長い対話を通して、このコレクションで参照しようと考えたのが枡でした。日本に住む誰もが馴染みのある木工品で、きちんとした技術が使われ、この国の文化が表現されていて、実用性がある。そんな家具を作りたいと思ったのです」

〈MAS〉の椅子は、水平垂直を基調としたラインで全体が構成され、確かに枡のようなシンプルさと清々しさを感じさせる。また前脚上部と座面は、木を凹凸に加工して組む蟻継と呼ばれる手法を用いた。潔い存在感が、日本を代表する白木であるヒノキの素材感を際立たせていて美しい。

針葉樹を使った家具作りの盛んなフィンランドに留学した後、デザイナーのジャスパー・モリソンの下で木の家具を多く担当してきた熊野にとって、〈MAS〉はその経験を生かす格好のテーマだったに違いない。

「すでに世の中にはたくさんの家具があるので、さらに新しい家具を作る責任は大きい。だから実用的で、普遍的で、長く使える家具でなければなりません。木工色を残しながら、木の優しさだけでなくメッセージ性もある、世界を意識した家具になりました」

熊野は、こうした高い技術を要する家具を世界有数の規模で量産できるのが〈カリモク家具〉の強みだという。森と家具の関係が、この一脚から変わっていくかもしれない。

くまのわたる

1980年生まれ。2001年よりフィンランドのアアルト大学大学院などで学ぶ。帰国後、ジャスパー・モリソンの東京スタジオでアソシエイトデザイナーを務め、並行して11年に自身の事務所を設立。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科准教授。
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