無二の“白磁”を生んだ【陶芸家・黒田泰蔵】を知る10のこと。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

無二の“白磁”を生んだ【陶芸家・黒田泰蔵】を知る10のこと。

“白磁”の器によって世界的に知られる陶芸家・黒田泰蔵、その魅力をあらためて知るための10のトピックをご用意。2021年春に逝去する直前まで本人が携わった書籍『Colorful 黒田泰蔵』(プレコグ・スタヂオ)を執筆し、また黒田自身とも交流をもったライターの視線を通して、黒田の作陶の哲学、交友関係、そして日常の意外な横顔をご紹介します。

●1. 白磁|黒田泰蔵を知る10のこと

黒田泰蔵《壺》
黒田泰蔵《台皿》
白い粘土を使って高温で焼成したやきもの、白磁。黒田泰蔵さんは生涯をかけてその白磁に取り組み続け、美しい造形と唯一無二の世界観で国際的に高い評価を得ている。

「僕の人生は最初から、ひょっとしたら白磁をやっていたんじゃないか、って時々思う。白磁のなかに、僕が理想とするものがいっぱい内包されているんですよね」

黒田さんがやきものを始めたのは、21歳のとき。試行錯誤の末にようやく白磁にたどり着いた頃には、45歳になっていた。最初に白磁に魅力を感じたのは、「満月壺(まんげつこ)」と呼ばれる、李朝の白くて丸い大きな壺だった。20代で触れて以来、ずっと心のどこかで惹かれ続ける憧れの存在。

だが、師である人間国宝・島岡達三さんの「白磁は若いときにやるもんじゃないよ」という言葉に従い、45歳までぐっと我慢した。そこに至るまでに抱いた迷いや絶望は、一見静謐な黒田さんの白磁にふくよかさと複雑さ、そしてあたたかさを与えている。

黒田さんは自分の胸に言い聞かせるように、ことあるごとに何度も言った。

「白磁っていうのは、すごく抽象性の強い世界で、言語化できない言葉を形で現すことだと思う。例えば、『イエス』と『ノー』の間の言葉。それを僕はやきもので表現しているんだと思う」

以来、黒田さんが白磁以外を作ったのは、師の追悼記念窯の時の4点だけ。やっと見つけた白磁に、29年間のすべてを注ぎ込んだ。

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