初めての「作家もの」にもぴったり!〈郡司製陶所〉展@桃居|輪湖雅江の器とごはん | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

初めての「作家もの」にもぴったり!〈郡司製陶所〉展@桃居|輪湖雅江の器とごはん

器は料理を盛ってこそ! 人気作家の最新作を発表する個展に合わせて、作家本人に料理もつくってもらっちゃおう……という無茶ぶり企画9回目。今回紹介するのは民藝の里、栃木県益子に住居と工房を構える郡司庸久・慶子夫妻の器。器好きも初心者も魅了されること必至の耐熱皿や大皿は、4月16日から始まる東京西麻布〈桃居〉の個展にて!

郡司製陶所の「器とごはん」。上/益子の伝統釉でもある糠白釉の6寸皿を取り皿に。左/〈飴釉尺皿〉×土鍋ごはんのおむすび、左下/〈型打ち角皿〉×がんもどきのオーブン焼き、右上/〈耐熱皿〉×焼き野菜と焼きサトイモ、右下/〈呉須スープ皿〉×「山崎農園」のいちご、中央/〈灰釉丸鉢〉×自家製キュウリの糠漬け、下2点/〈飴釉飯碗〉〈灰釉飯碗〉×えのきとワカメの味噌汁。
個展は西麻布の〈桃居〉で4月16日から。上/糠白釉6寸皿 直径18cm 3,300円、左/飴釉尺皿 直径30×H6cm 13,200円、左下/型打ち四角皿24×19cm 4,950円、右上/耐熱皿 直径32.5×高さ5cm 8,800円、右下/呉須スープ皿 直径20.5×高さ7cm 5,500円、中央/灰釉丸鉢 直径17.5×高さ5cm 4,400円、下2点/飴釉飯碗 直径12×高さ5cm 2,750円、灰釉飯碗 直径12×高さ6cm(写真は金継ぎしたもの)。展覧会情報は文末に。
初めて「作家ものの器」を買うなら、おすすめは?

そう聞かれてぱっと思い浮かぶ名前のひとつが〈郡司製陶所〉だ。丸皿、角皿、碗にボウル。どれもシンプルで丈夫でカッコいい。(どうやって使えばいいんだろう……)と戸惑わせるようなところがなく、すでに持っているほかの食器ともよくなじむ。料理をのせた時や手にした感触の心地よさに、「いい器があると、こんなに楽しいんだな」とうれしくなって、次の食卓にもまた出したくなる。初めての「作家もの」がこの器だったら、人生の楽しみがひとつ増えるはず。

〈郡司製陶所〉は、郡司庸久さんと郡司慶子さん夫妻による工房だ。焼き物の町としても知られる栃木県益子の里山に住居兼アトリエを構え、ボーダーコリーのパトリス、柴犬の千代、黒猫の黒玉と暮らしている。梅林を切り拓いた敷地の周りには豊かな自然が残り、ゆるやかな斜面に建つ平屋の建物は、その一部が土間づくりの工房になっている。

ふたりはそれぞれの名前で作陶活動もしているが、ここ数年は〈郡司製陶所〉の名で発表するチームとしての制作が多い。益子の土や釉薬を使い、ろくろを引いて形をつくるのは庸久さん。そこに絵付けや型押しなどの装飾を施すのは慶子さん。いまや各地で年に何度も個展が開かれる人気者だが、その名前が器好きの間で話題になりはじめたのは2005年ごろ。きっかけをつくったのは、益子のライフスタイルショップ〈starnet〉の創設者である故・馬場浩史さんだ。益子の窯業指導所を出て独立していた庸久さんと、〈starnet〉の制作スタッフだった慶子さんに、馬場さんは「ふたりで仕事をしたら?」と提案した。やがて店に並んだのはリム皿や箸置きやマグカップ。民藝とも、作家もの然とした個性派とも違う素直でモダンな器に、ファンはぐんぐん増えていった。
2015年に竣工した木造平屋建てが郡司夫妻の住居兼アトリエ。緩やかな傾斜地に沿って、床面を階段状に仕上げた。ガルバリウム鋼板の屋根の上には、採光や通風のための「越屋根」が付き出している。
元々は三方を斜面に囲まれた梅林だった土地。
キッチンで料理中の庸久さん。「家も器も、“何も考えないでいい心地よさ”を大切にしたい」
キッチンとダイニングを仕切るカウンターで、土鍋で炊いたご飯をお櫃に移す慶子さん。ご飯炊き土鍋は〈郡司製陶所〉製。「まるい形がいいなと思ってつくったもの。4合炊きです」
愛猫の黒玉と〈郡司製陶所〉のマグカップ。庸久さんが成形し、慶子さんが絵付けをしたもの。
ふたりが目指しているのはどういう器なのか聞いたところ、「器をつくること自体が好きなんです。何かを目指している、というのはあまり無くて」と庸久さん。絵付けや装飾を施さない場合、実際に手を動かすのは庸久さんひとりだけれど、つくる時は必ず、形や大きさや仕上げをふたりで話し合う。「“気持ちのいい形”はそれぞれにあるので、もうちょっと深い方がいいとか、この前の形が持ちやすかったとか、とにかくいっぱい話します。実際に使ってみながら考えることも多いかな」と慶子さん。

「それでも、日によっていいと感じるものが違ったりするし、土にしろ釉薬にしろ、自然のものだから状態も毎日変わる。最初から、これと決めてつくったりはしないんです」と庸久さんは言う。土を触り、その時々の気持ちや手の感覚に従って、心地いいと思うものを淡々とつくり続けるふたり。「作家としての個性を出そう」みたいな気負いや主張がみじんもない器は、すがすがしくて潔い。

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