古今東西 かしゆか商店【 長崎ガラスのチロリ 】 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【 長崎ガラスのチロリ 】

『カーサ ブルータス』2021年4月号より

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回出合ったのは、江戸時代の工芸を復元した瑠璃色の酒器。かつて「長崎びいどろ」と呼ばれた長崎ガラスの手仕事です。

日本の鎖国時代、長崎に伝わった吹きガラス「びいどろ」。その技を今に伝える工房〈瑠璃庵〉で。江戸期の手仕事を復元した冷酒用酒器・長崎チロリを手に、「色はしっかり濃いのに透明感があって素敵」とかしゆか店主。
日本の伝統工芸の中には、海外から伝わった技術を元にしたものもたくさん。ガラスもその一つです。

日本が鎖国をしていた時代、長崎の出島を通じて海外から伝わり、その後、長崎から江戸や薩摩、大坂に広がったといわれるのが「びいどろ」。びいどろとは吹きガラスのこと。高温で溶かしたガラスを棹に巻き付け、息を吹き込みながら成形する技法です。
Buying No.36【 長崎ガラスのチロリ 】江戸時代のびいどろを復元した瑠璃色のガラス酒器。
「1676年には既にびいどろ吹きが長崎に存在していた、と長崎奉行の記録にあるんですよ」と話すのは、ガラス工房〈瑠璃庵〉の竹田克人さん。日本最古の教会建築〈国宝・大浦天主堂〉のステンドグラスの修復や、「長崎くんち」の山車のガラス装飾も手がけています。そんな竹田さんが復元したのが「長崎チロリ」。18世紀の長崎でつくられ、長い間途絶えていた冷酒用ガラス急須です。
ガラス専用の鋏。先端でガラスを巻いた棹を掴む。
「瑠璃色と呼ばれる紫がかった深い青を出すために、工房独自でガラスの色を調合しています。成形は、空中で形づくる”技法。動きを止めたり温度が下がったりしただけですぐ割れてしまうので、スピードが勝負です」

そう言いながらチロリづくりを見せてくださったのは2代目の竹田礼人さんです。まずは急須の本体。1100℃の高温で溶けた、まだ柔らかいガラスの塊に息を吹き込み、重力にあらがうように棹をくるくる回しながら成形します。

AIがあなたにおすすめ

※過去の記事も表示されます