『サンワカンパニー デザインアワード 2020』変化する時代に応える、新しいアイデアが集まりました。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

『サンワカンパニー デザインアワード 2020』変化する時代に応える、新しいアイデアが集まりました。

『カーサ ブルータス』2021年4月号より

「くらしを楽しく、美しく。」を理念とするサンワカンパニー。今回で5回目を迎えたコンペは、変化する時代の新しいアイデアを求めました。

■最優秀賞
『Switch Light』Designed by 不破健男、本山拓人
日常と非常時をつなぐ、多機能なスイッチ。

通常は室内照明のスイッチだが、非常時には非常灯として機能し、スイッチ部分を取り外すと懐中電灯やモバイルバッテリーとなる建築設備の提案。安心とは本来、日常のなかで意識せずにいることが理想であり、そうしたシーンに溶け込むものを目指したと言う。
■サンワカンパニー賞
『NICHE 380』Designed by 木村淳子
住宅に潜む380mmの隙間に、新たな可能性を見いだす。

多くの木造住宅で採用される木造軸組工法では、構造となる柱と間柱のあいだに380mmの隙間が生まれる。ここに着目し、隙間に収納を収める提案を行った。幅380mm、奥行きわずか110mm程度の空間ながら多様な収納の可能性を提示し、機能と美しさを与える。
新たなデザインの可能性を発信する場として、多くの参加者を集めるデザインコンペ『サンワカンパニーデザインアワード』。5度目の開催となる今回は、プロダクトデザイン部門の審査委員長にデザイナーの倉本仁を迎え、「住まいの価値を見つめ直す」を主題にアイデアを募った。過去最多の応募総数332点から、最優秀賞、サンワカンパニー賞、Casa BRUTUS賞、入賞、新人賞5作品が選ばれた。

最優秀作品は不破健男と本山拓人による《Switch Light》だ。通常時はルームライトのスイッチとして機能するが、着脱可能にすることで非常時には、非常灯、懐中電灯、モバイルバッテリーなどに機能まで転換=スイッチするというもの。二人は住まいのもつ価値のなかから「安心」に着目し、意識をせずとも有事に人々の暮らしを支えるアイデアを提案した。倉本は「ミニマルなデザインで、非日常を日常に溶け込ませた」と、建築設備にバランスよく収めるアイデアも含めて高く評価した。

またCasa BRUTUS賞を受賞したのは、エクアドルから参加したテレシタ・マレロ・エスカロナによる《PBS(Your personal bike station)》だ。環境負荷やコロナ禍における他者との接触を抑える交通手段として注目を集める自転車に着目し、室内における自転車収納の新たな姿を探った。
■Casa BRUTUS賞
『PBS: “Your personal bike station”』Designed by Teresita Marrero Escalona
室内に自転車を置く、インテリアの新しい楽しみ。

壁面に取り付けるパネル型の自転車収納スタンド。不使用時はパネルを畳むことでフラットになり、部分的にパネルを引き出せばアクセサリー類を置く棚にもなる。既存のスタンドの多くがポール型で味気ないものだが、木製パネルによる温かみをもった収納システムは住まいに馴染み、インテリアの可能性を広 げる。新型コロナウイルスの影響はもちろん、環境負荷低減の観点からも自転車は注目されており、時代に即した提案と評価された。
「デザインのいい自転車を室内で保管する人も多いですが、収納器具は選択肢も限られています。本作は自然な木製パネルを壁付けにして部屋と一体化させる “面” のデザインに新しさを感じました。自転車とアクセサリーをディスプレイできる点、そしてすべてを閉じてフラットにした姿を選べる点にも魅力を感じます。なによりプレゼンテーションボードから、自転車のある生活を楽しむライフスタイルとインテリアを想像できる点も高く評価します」と小誌編集長の西尾洋一は言う。

●審査もオンラインで生活をより豊かなものに。

総評で倉本は、「価値転換の時代のなかで、新しい住まいのあり方や可能性を問うテーマです。一方で、価値は次々と変わっていくもの。その背景、時代性を読み解きながら、ディテールも含めた表現を行っていくことがデザイナーには重要です。今回の出展を将来につなげていくことで、コンペをより意味のあるものにしてほしい」と参加者へメッセージを送った。

参加者の生活に根ざした、明日からでも使えるアイデアが形になる日はいつか。その実現を楽しみに待ちたい。

●発表会もZoomで開催!

新型コロナウイルスの感染拡大防止からオンライン上で授賞式が行われた。受賞者をはじめ、審査員らがオンライン上で意見の交換を行った。

サンワカンパニー デザインアワード 2020

サンワカンパニーが主催する『サンワカンパニーデザインアワード』は、2016年から始まったデザインコンペティション。今回のプロダクト部門は「住まいの価値を見つめ直す」をテーマに、コロナ禍以降に提案する住空間のアイデアを求めた。応募総数は19年の244点から332点へと増加し、最優秀賞をはじめ5組が受賞を果たした。

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