エッセンシャルオイルのサードウェーブ!?〈エポ〉のユニークな香りづくり。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

エッセンシャルオイルのサードウェーブ!?〈エポ〉のユニークな香りづくり。

東京・渋谷のスタジオ内で、原材料からエッセンシャルオイル(精油)を自家精製する〈エポエッセンシャルオイルファクトリー〉。そのユニークな香りづくりで密かな注目を集める〈エポ〉が、Casa BRUTUSのためにモダニズムの名建築からインスパイアされた香りを作ってくれました。

〈エポエッセンシャルオイルファクトリー〉内のラボスペース。実験室のような空間でオリジナルのエッセンシャルオイルが作られる。
ラボの棚にはサロンで行われるトリートメントやヘッドスパで用いられるハーブが並ぶ。
スタジオの中央に設置されたエッセンシャルオイルを精製するための蒸留窯。
代々木公園のすぐ近く、静かな商店街を歩いていると、ラボラトリーのような空間に目が止まる。ガラス越しに見える試験管のような器具、棚に並んだガラス瓶……。ここは、ヘアアーティストのKenshin(ケンシン)さんが主宰する〈エポエッセンシャルオイルファクトリー〉だ。サロン、ファクトリー、ラボの機能を兼ね備え、スタジオ内のファクトリーで植物からエッセンシャルオイルとウォーターを蒸留精製し、ラボスペースでオリジナルのオイルを作成、それらを用いた施術をサロンで行っている。
オーダーメイドで作ったという蒸留窯。右の蒸し器で発生した蒸気を、左の冷却器で液化させ、ハーブウォーターとエッセンシャルオイル(精油)を抽出する。
〈エポエッセンシャルオイルファクトリー〉代表のKenshinさん。
スタジオに入るとまず目に入るのが、エッセンシャルオイルを精製するための蒸留窯だ。ジンの蒸留用の窯作りを手がけている熊本の工場に、オーダーメイドで作ってもらったという。「原材料となる植物を高温の蒸気で蒸すための蒸し器と、気化した水蒸気を冷やして液化するための冷却器からできています。バックヤードには高温のスチームを送るためのボイラー室もありますよ」とKenshinさん。ニューヨークを拠点に、アメリカのヴォーグ誌を始め、インターナショナルブランドの広告などで活躍していたKenshinさんが、こうしたユニークな店を作ることを考え始めたのは10年ほど前だという。

「撮影のためにいろいろな土地へ行くことが多かったのですが、山登りが趣味でその土地土地の山に登っていました。山での経験が自分の仕事に結びつけられればと考え始めたところ、ちょうどポートランド・ブームが起きたんです。生産地にこだわった手仕事で行う物づくりへの関心が高まり、時代が新しいフェーズに入るのを感じました。日本に帰国する際に、誰もやっていないことをやろうと思い、シャンプーやトリートメントを自分たちで製造するラボとファクトリーの機能を備えたサロンを考えつきました。原材料を山に入って取りに行くところから始まり、お客さんに見える場所で蒸留精製する、いわばチョコレートの”Bean to Bar“のエッセンシャルオイル版をやってみようと思ったんです」
スタジオのディレクターを務める渡辺康雄さん。蒸留窯に原材料となるヒバを投入する。
棒で穴を開けることで空気を含ませる。
取材に訪れた5月、スタジオでは、ヒバのハーブウォーターの蒸留精製を行っていた。コロナ禍を受け、何か地域に貢献できることはないかと考えた〈エポエッセンシャルオイルファクトリー〉では、抗菌や精神を安定する効果があると言われるヒバから作ったハーブウォーターを無料配布していた。原料となる粉末状にした青森ヒバを窯に入れ、棒で穴を開けながら空気を含ませると準備は完了。蓋を閉じ、精製が始まる。30分ほどすると、冷却器からエッセンシャルウォーターとオイルが抽出され始め、店内が深い森の香りに包まれる。原材料は、Kenshinさんが山林ガイドとともに山に入って、直接探してくるという。旬のものにこだわり、初夏からは岐阜の山椒を使って精製するそうだ。
抽出されたハーブウォーターから上澄みのオイルを分離する。
抽出されたヒバのエッセンシャルウォーター。
8キロの青森ヒバから約100mlのヒバオイルが抽出される。
蒸留精製の様子
ラボでは、専属アロマセラピストの伊藤美郷さんが自家精製したオイルをブレンドし、オリジナルのオイルを作っている。オイルは、サロンで使用するシャンプーやトリートメントにも使用され、毎月映画の名前をつけたオリジナルの香りのシャンプーも作成している。建築好きで、アメリカではロサンゼルスの〈イームズハウス〉やカリフォルニア州パームスプリングにあるリチャード・ノイトラ設計の〈カウフマン邸〉も訪れたというKenshinさんは、今回、伊藤さんとともにCasa BRUTUSオリジナルでモダニズムの名建築をテーマとした香りを作ってくれた。「建築は視覚的要素だけでなく、訪れた時に感じる雰囲気も重要だと思う」というKenshinさん。

「空間と匂いはセットになって記憶に刻まれますが、空間をテーマとした香りというのはあまり作られていないので、建築に匂いを紐付けるのは面白い試みでした」

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