〈工芸館〉最後の展示に急げ!|青野尚子の今週末見るべきアート | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

〈工芸館〉最後の展示に急げ!|青野尚子の今週末見るべきアート

「さらば」。そう書いてあるのは、竹橋の〈東京国立近代美術館 工芸館〉での最後の展覧会だから。赤レンガの建物をしっかりと目に焼きつけておきましょう。

〈工芸館〉外観。整ったプロポーションの、堂々たる立ち姿だ。
東京・竹橋の〈東京国立近代美術館〉本館から歩いてすぐのところにある工芸館。2020年夏には通称〈国立工芸館〉として石川県金沢市に移転する。建物は1910年に陸軍技師、田村鎮(やすし)の設計により、近衛師団司令部庁舎として建てられたもの。一度は取り壊しの話も出たが谷口吉郎らが保存を訴え、彼の改修設計により、1977年に工芸の展示施設として開館した。赤レンガに白い窓枠や八角形の塔屋がアクセントになった、簡素なゴシック様式の建築だ。今は少なくなってしまった明治洋風煉瓦造の建物として、外壁と玄関および階段ホールが重要文化財に指定されている。
アーチになった入り口。控えめだが風格が漂う装飾が施されている。
換気口には五芒星がデザインされている。
建設当時の姿をよく残しているとされる2階ホール。黒田辰秋のベンチが置かれている。
黒田辰秋《欅拭漆彫花文長椅子》。座って、すべすべした木の感触を確かめよう。
展示施設に転用するにあたり、谷口は2階にガラスのドアで仕切られた展示室と、その中に展示和室を設えた。九谷焼の窯元に生まれた谷口は、工芸と和室や床の間との関係性を見せることが重要だと考えたのだ。既存部分でも五芒星があしらわれた換気口や「引廻」などと書かれたドアノブ、木をていねいに削り出した、それ自体が工芸品のような手すりなど、建物にも見どころが多い。

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