柳宗理の、あのテープカッターが復刻します。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

柳宗理の、あのテープカッターが復刻します。

知る人ぞ知る、柳宗理デザインの卓上型テープカッター。1960年代に一度発売されたものだ。今回、満を持して復刻版《ロータリー・テープ・ディスペンサー》が登場する。手がけたのは、あのコクヨだ。

コクヨが忠実に再現した復刻版《ロータリー・テープ・ディスペンサー》。25,000円。2020年2月25日発売予定。
刃の部分にはコクヨ独自の「カルカット刃」を採用。切れ味が軽く、テープの切り口がギザギザではなく、まっすぐに仕上がる。オリジナルと大きく異なる部分だが、「柳宗理さんが生きていたら、きっと進化した刃を選ぶに違いない」という判断で採用となった。
360度、回転する仕組み。ベース部(鉄鋳物)も細部に至るまで美しい仕上げだ。
テープの回転部分(リール)はアルミ鋳物。
小さなゾウのような愛らしい形の《ロータリー・テープ・ディスペンサー》。これが机の上にあるというだけで、なんとなく気持ちが落ち着く――そんな優しい佇まいのテープカッターを、1960年代、柳宗理はデザインしていた。しかも、見た目がかわいいだけではない。重量感のあるテープカッターだが、360度回転する機構を内部に搭載し、どの方向からも素早くテープをカットすることができる、非常に機能的な側面を持ち合わせていた。
1960年代に発売された《ロータリー・テープ・ディスペンサー》(オリジナル)。本体は経年変化でわずかに黄色みを帯びているが、質感はそのままだ。
オリジナルは、サラリーマンの給料が約20,000円前後という時代に、5,000円という値段で販売されたという。
柳宗理はデザイン画を描かず、たたき台には立体模型を使用していた。しかも、その模型は毎回、必ず手でつくられていたという。手でつくることで使い勝手や形、バランスなどを一つひとつ確かめていたのだ。今回、復刻するにあたって、コクヨはオリジナルを3Dスキャンしたのだが、実は微妙に左右対称ではなかったという。手からつくられたことがよくわかるエピソードだ。

そういった経緯を知った上で、あらためてこの《ロータリー・テープ・ディスペンサー》を見て触ってみると、あらゆる面で収まりが良いことを実感する。なめらかな本体のメラミン樹脂は、まるで白磁のような美しさをたたえており、ずっと撫でていたくなるような質感だ。手に収めると大きすぎず小さすぎず、テープを引っ張ったときには本体が微動だにしない安心感が得られる。これらすべてをひっくるめて、やはり柳宗理の「手仕事」のたまもの、と深く納得できる。

●国内の工場で、つくられています。

光沢のあるメラミン樹脂を使った本体の成形終了直後の状態。このバリを手で取り、丁寧にヤスリがけを行っていく。
ヤスリがけの様子。バリ取りはもちろん、なめらかな曲線はすべて複数のヤスリを使い分けて手作業で仕上げていく。
生産はすべて国内。れっきとした工業製品ではあるが、手で仕上げを行う部分もあり、その製造工程はまるで一点物のオブジェをつくるかのような丁寧さを兼ね備えている。

今回の復刻にあたり、コクヨは1953年に柳宗理自身によって設立された「柳工業デザイン研究会」と緊密に連絡を取り、当時、柳宗理が目指していたオリジナルに、忠実な生産を目指した。実は、これまでに何社も「柳工業デザイン研究会」には「復刻をやらせてほしい」というリクエストは来ていたが、残念ながら、生産技術がおよばなかったりコストの関係で頓挫し、実現にはいたらなかったという。今回、コクヨと柳工業デザイン研究会とのやりとりは長きに渡ったが、関わるすべての人たちの熱意と根気により、プロジェクトはついに実現の運びとなった。

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YANAGI DESIGN × KOKUYO《ROTARY TAPE DISPENSER》

テープカッター(ロータリー式)。1色(ホワイト×ブラック)。25,000円。2020年2月25日発売予定。問い合わせ:コクヨお客様相談室 TEL0120 201 594。

※現在、東京・千駄ヶ谷の〈THINK OF THINGS〉では先行してポップアップショップ『TOOLS TO HAND(s)ON-継がれるもの/使われるもの-』を展開中(〜1月15日まで)。《ロータリー・テープ・ディスペンサー》の新旧の実物展示があるほか、先行予約も受け付けている。 

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