追悼インゴ・マウラー。最後の光の魔法に触れる。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

追悼インゴ・マウラー。最後の光の魔法に触れる。

『カーサ ブルータス』2020年1月号より

去る10月に亡くなった、巨匠インゴ・マウラー。ミュンヘンで本人が携わった最後の企画展が開催中。

会場風景。右手奥の循環式エレベーターでは公共プロジェクトのモデルが巡回。
〈ミュンヘン、ピナコテーク・デア・モデルネ〉での1年におよぶ展覧会の直前に、照明界の巨匠インゴ・マウラーが他界した。

2年に及ぶ準備期間を経て実現した個展『インゴ・マウラーを知る デザインか何か?』は、決して回顧展にはしたくないという本人の意向で、セラミック、紙、ゴールドなどの素材や、ハロゲン、OLED(有機発光ダイオード)といった技術を、テーマごとのグループに分けて展示している。

デザインにおいても技術においても常に先駆者だったマウラーの、ミュンヘンにある工房は、スケッチ、構想、生産から販売までを1つ屋根の下で行っていた。今展覧会では本人に加えその工房のチームも80点に及ぶキュレーションに深く携わっている。
《Flatterby》(2016)の蝶々は、映画『アバター』でも使用された。
《Bulb》(1966)と関連のシリーズ。
《Flatterby》(2016)の蝶々は、映画『アバター』でも使用された。
《Bulb》(1966)と関連のシリーズ。
1966年に発表したデビュー作《Bulb》はシンプルなアイデアながら、照明器具のアーティスティックなオブジェクトとしての楽しみ方を提示している。1984年にはハロゲンライトをいち早く取り入れた《YaYaHo》を発表。バイエルン州デザインコレクション、ディ・ノイエザムルング・ディレクターのアンゲリカ・ノラートは、「YaYaHoが良い例だが、インゴ・マウラーの新しい技術への取り組みとデザインは幾度もコピーされているが、彼以上に繊細で優れた作品はなかった」と高く評価している。
和紙を使用したダグマー・モンバッハとのコラボ作品《MaMoNouchies》(1998)。
2000年以降に発表した、LEDの特徴を全面にアピールした作品も揃っている。中でも《LED Bench》(2002)は温かみがあり、情感が溢れる。日本からも多くのインスピレーションを受けたというマウラーの、和紙を使った代表的なシリーズ《MaMoNouchies》は、マウラー、モンバッハ(共作のテキスタイル・デザイナー)、ノグチを合わせた造語で、美術家イサム・ノグチへのオマージュでもある。自由自在にフォルムを作り出せる紙の特徴をつかみ、有機的な広がりを持つ明かりは彼の定番となった。

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