須田二郎「木の器」展@OUTBOUND|輪湖雅江の器とごはん | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

須田二郎「木の器」展@OUTBOUND|輪湖雅江の器とごはん

器は料理を盛ってこそ!ということで、人気作家の最新作を発表する個展に合わせて、作家本人にも料理を作ってもらっちゃおう…という無茶ぶり企画5回目。ダイナミックで使いやすいウッドボウルで大人気の木工家、須田二郎の工房を訪ねました。普段の料理が映えるボウルから木のカトラリーや調理ツールまで、350点の作品が並ぶ個展は、東京・吉祥寺の〈OUTBOUND〉で11月13日から開催!

東京・八王子に住居兼工房を構える木工家、須田二郎が作った「ごはんと器」。本日のごはんは3種類のメニューを右下のウッドボウルに盛り合わせていただくランチプレート。左下/〈ウッドボウル・サクラ材〉×緑の野菜と柿のサラダ。左上/卵とトマトのウエボスフラメンカ。右上/〈漆ボウル・ナラ材〉×定番炒飯。レシピは後半でご紹介。
11月13日~20日の一週間、「須田二郎、木の器展」で販売する予定の器。個展の場所は吉祥寺の〈OUTBOUND〉。左下/ウッドボウル・サクラ材(φ27×H10.5cm)12,000円、右上/漆ウッドボウル(φ30×H9.5cm)販売未定、右下/ウッドボウル・ナラ材(φ21×H5cm)4,000円、木のカトラリーは各1,100~1,200円。展覧会情報は文末に。
東京・八王子に住居兼工房を構える木工家、須田二郎が作った「ごはんと器」。本日のごはんは3種類のメニューを右下のウッドボウルに盛り合わせていただくランチプレート。左下/〈ウッドボウル・サクラ材〉×緑の野菜と柿のサラダ。左上/卵とトマトのウエボスフラメンカ。右上/〈漆ボウル・ナラ材〉×定番炒飯。レシピは後半でご紹介。
11月13日~20日の一週間、「須田二郎、木の器展」で販売する予定の器。個展の場所は吉祥寺の〈OUTBOUND〉。左下/ウッドボウル・サクラ材(φ27×H10.5cm)12,000円、右上/漆ウッドボウル(φ30×H9.5cm)販売未定、右下/ウッドボウル・ナラ材(φ21×H5cm)4,000円、木のカトラリーは各1,100~1,200円。展覧会情報は文末に。
数年前から注目されはじめた器のひとつに「ウッドボウル」がある。「サラダや果物をざっくり盛るだけでカッコいい!」「ひとつあると食卓の雰囲気が変わる」「軽くて丈夫で扱いやすい」……などなど日常の器として魅力があるのはもちろんだが、実はその力強い佇まいにひと目惚れして思わず購入という人も多い。器好き、クラフト好きとは別の方面でもファンが増えている。

木のボウルの中でも断然人気があるのは「ウッドターニング」によるもの。木工旋盤(木を削るロクロ)という機械で木の塊を回転させながら形を削り出す技法だ。今回訪ねたのは、このウッドターニングの器で知られる須田二郎。もともと木こりだった須田は、森や林から切り出された生木を使ってボウルや皿を作る。乾燥する前の、まだたっぷり水分を含んだ状態の木を削るため、それが乾く過程でゆがんだりたわんだり、時にはちょっと割れたりする、その自然な姿がすこぶる魅力なのだ。
木の自然なゆがみを生かした須田二郎のウッドボウル各種。ただ重ねただけでもカッコいい。皿は4,000円前後、ボウルは10,000円~。
木の調理ツールは軽くて扱いやすくて美しい。すべて1,800円。右から/サクラ材のヘラ。ヘッド部分は煮汁やスープを軽くすくえるくらいに刳ってある。/穴あきヘラはクルミ材。記事の後半で炒飯の調理に登場。/サーバーとしても使えるカエデ材のヘラ。/海外の金属製バタービーター(菓子作りの際にバターをつぶしたり攪拌したりする道具)を参考に作ったナラ材のビーター。/堅牢なマホガニー材のヘラ。フライ返しに使ってもいい。
持ちやすくて口あたりのいいスプーン、フォーク、マドラーは各1,100~1,200円。機械でカットした後、3段階に分けてサンダー(ヤスリ)で磨き、形を整える。仕上げはサラダオイルでコーティング。「作り方はまったくの自己流。でも形や種類は、料理研究家やスタイリストにアドバイスをもらったり、ダメ出しされて奮闘したりしたものがベースになっています」だから使い心地も使い勝手も抜群。
木の自然なゆがみを生かした須田二郎のウッドボウル各種。ただ重ねただけでもカッコいい。皿は4,000円前後、ボウルは10,000円~。
木の調理ツールは軽くて扱いやすくて美しい。すべて1,800円。右から/サクラ材のヘラ。ヘッド部分は煮汁やスープを軽くすくえるくらいに刳ってある。/穴あきヘラはクルミ材。記事の後半で炒飯の調理に登場。/サーバーとしても使えるカエデ材のヘラ。/海外の金属製バタービーター(菓子作りの際にバターをつぶしたり攪拌したりする道具)を参考に作ったナラ材のビーター。/堅牢なマホガニー材のヘラ。フライ返しに使ってもいい。
持ちやすくて口あたりのいいスプーン、フォーク、マドラーは各1,100~1,200円。機械でカットした後、3段階に分けてサンダー(ヤスリ)で磨き、形を整える。仕上げはサラダオイルでコーティング。「作り方はまったくの自己流。でも形や種類は、料理研究家やスタイリストにアドバイスをもらったり、ダメ出しされて奮闘したりしたものがベースになっています」だから使い心地も使い勝手も抜群。
須田の工房兼住居は八王子の住宅街にある。中にはいると木工旋盤やら電動研ぎ石やら、見たことのない機械がたくさん並び、壁を埋め尽くすように工具が掛かっている。天井から壁まで、至るところにクラッカーの紙テープみたいな木の削り屑が絡みついているのが、なんだかすごい。

「ウッドターニングが海外で注目され出したのは1970~80年代かな。アメリカのリチャード・ラファンという木工家が有名になって、1984年に生木を使ったゆがみのあるウッドボウルを作ったんです」

アメリカではその後、趣味としての木工旋盤を広めようとするムーブメントも巻き起こる。AAW(アソシェイション オブ アメリカン ウッドターニング)という団体のもとで旋盤や道具の改良が飛躍的に進み、安全かつ簡単に作業できるようになったのだ。

「日本にも昔から轆轤師と呼ばれる職人がいましたが、機械の進化に関しては世界の蚊帳の外。そんな中、1998年になって海外の優れた旋盤が入ってきたんですね。僕もすぐ購入して、1999年には木工旋盤で器を作り始めました。教えてくれる人も器の見本もないから、ビデオや教材を見ながらの“解体新書”状態でしたけど。自分がやりたいと思った時期と旋盤の進歩が重なったのはとても幸運なことでした」
八王子の住宅街に建つ工房兼住居。1階が工房。看板はアーティストでもある妻の牧子さんが制作した。
旋盤で削った木屑があちこちに散乱している工房。天井にはなぜか一輪車が。「60歳を過ぎると平衡感覚がなくなってコケたりするので、予防のために乗ってるんです」
ボウルをひとつ作っただけで、足の踏み場もないほど大量の木屑が出る。「近所の保育園の畑で肥料として使ってもらってます」と、丁寧にかき集めて袋に詰める須田。
八王子の住宅街に建つ工房兼住居。1階が工房。看板はアーティストでもある妻の牧子さんが制作した。
旋盤で削った木屑があちこちに散乱している工房。天井にはなぜか一輪車が。「60歳を過ぎると平衡感覚がなくなってコケたりするので、予防のために乗ってるんです」
ボウルをひとつ作っただけで、足の踏み場もないほど大量の木屑が出る。「近所の保育園の畑で肥料として使ってもらってます」と、丁寧にかき集めて袋に詰める須田。
朝10時。ウッドボウルを作るため、工房の中に置いてあったソメイヨシノの丸太をチェーンソーで切り始める。断面の真ん中あたりの赤い部分は「赤身」、周囲の白い部分は「シロタ」という。ふたつに割ったところへ木工旋盤の丸いパーツをあてて大きさを決め、チェーンソーで粗くカット。旋盤にのせやすい形にする。

「雑木林で切られた木や、宅地造成で切らざるを得なかった木材を使うので、その時々で材料は変わります」と須田。今日使っているのは町田市の園芸屋から引き取ってきたもの。伐採された木はパルプや燃料チップになることが多いが、「2トントラックいっぱいでも3000円で売り買いされてしまうほど。まったくお金にならないんです。で、調べたら、アメリカ人は生木で器やボウルを作っているという。なるほど、この木を器にすればお金になって、森や雑木林の保全を進める資金ができるのかもしれない。そう思ったのが器作りのきっかけです」

日本の森と雑木林を甦らせたい。今もその一心で木の器を作っている。「最初のころは “伐採した木で器をつくって売る” なんて言っても、“何バカなこと考えてんだ” って笑われてました。でも、20年続けてきて最近やっと、後継というか同じような作り手が出てきたような気がします」