本能が心地良いと感じるアルベルト・メダ×JINSの新作メガネ。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

本能が心地良いと感じるアルベルト・メダ×JINSの新作メガネ。

世界的な著名デザイナーとのコラボレーションが話題になっている「JINS Design Project」。ジャスパー・モリソン、コンスタンティン・グルチッチ、ミケーレ・デルッキの次はアルベルト・メダが登場! インダストリアル・デザイナーである彼がメガネに挑戦。そのこだわりとは?

メガネのあるべき姿を世界のデザイナーと探求する「JINS Design Project」。第四弾はミラノの巨匠、アルベルト・メダのデザインだ。エンジニアリングを学び、〈アレッシィ〉、〈アルファ・ロメオ〉など名だたる企業に幅広くデザインを提供してきたメダ。〈ヴィトラ〉から発表された《メダ・チェア》をはじめ、手がけたデザインが権威ある伊デザイン賞「ADI コンパッソ・ドーロ・アワード」を多数受賞してきたインダストリアル・デザイナーだ。
2013年に〈ヴィトラ〉から発売された《フィジックス・チェア》。多様化する現代のオフィスに対応するようデザインされた。Copyright: Vitra, Photo_Marc Eggimann
18年前に発表された折りたたみ式のテーブル。高度なテクノロジーを駆使しながら、見た目はシンプルだ。Frametable 2001 Alias photo_Polifemo fotografia
太陽光で殺菌できるソーラーボトル。「エチオピア旅行の際に発案しました」。社会とデザインとの関わりを追求する。Solar Bottle 2006 photo_Miro Zagnoli
2013年に〈ヴィトラ〉から発売された《フィジックス・チェア》。多様化する現代のオフィスに対応するようデザインされた。Copyright: Vitra, Photo_Marc Eggimann
18年前に発表された折りたたみ式のテーブル。高度なテクノロジーを駆使しながら、見た目はシンプルだ。Frametable 2001 Alias photo_Polifemo fotografia
太陽光で殺菌できるソーラーボトル。「エチオピア旅行の際に発案しました」。社会とデザインとの関わりを追求する。Solar Bottle 2006 photo_Miro Zagnoli
本プロジェクト・第一弾のジャスパー・モリソンはメガネの本質をとらえることで、ベーシックなメガネに新たな定義をもたらした。メガネの原点であるラウンド型メガネで自由に発想をふくらませたのは、第二弾のコンスタンティン・グルチッチ。「誰もが自分自身のデザイナー」というテーマで自らのアイデンティティと重ね合わせてデザインしたのが第三弾、ミケーレ・デルッキだ。そして今回、アルベルト・メダがメガネを通じて生み出したのは「関係性からもたらされる美しさ」だという。それは一体どんなメガネなのだろう?

《メダ》のモデルは驚くほどしなやかで軽やかだ。ラインナップは4型16種。《Meda UNO》と《Meda DUE》はアルミニウムをフロントに、そしてテンプルには肌あたりのよい軽量樹脂TR-90を用いている。手に取る前に、すでに見た目から軽さが伝わってくるのはインダストリアルデザイナー、メダの仕事の真骨頂だ。

《Meda TRE》や《Meda QUATTRO》のフレームは、軽量でしなやかなフォルムを実現できるチタンでできている。そしてヒンジ(丁番)にネジではなく、エンジニアリングプラスチックのパーツを使っているのも特徴だ。緩みが出ないので、メガネを閉じた時に小さくカチッと響くクリック感! これが耳と指先にここちよい。
《Meda UNO》フロントはアルミニウム、テンプルには軽量樹脂TR-90を使用。異素材どうし、デザインによって一体化する。
《Meda DUE》素材は《Meda UNO》と同じ。サイドのスリットもポイントだ。
《Meda TRE》フレームは薄いシート状のβチタン。ヒンジは耐摩耗性にすぐれたプラスチックパーツでできている。
《Meda QUATTRO》《TRE》同様、ネジがない構造なので緩まない。これもカチッというクリック感が楽しめる。
《Meda UNO》フロントはアルミニウム、テンプルには軽量樹脂TR-90を使用。異素材どうし、デザインによって一体化する。
《Meda DUE》素材は《Meda UNO》と同じ。サイドのスリットもポイントだ。
《Meda TRE》フレームは薄いシート状のβチタン。ヒンジは耐摩耗性にすぐれたプラスチックパーツでできている。
《Meda QUATTRO》《TRE》同様、ネジがない構造なので緩まない。これもカチッというクリック感が楽しめる。
「メガネのデザインにあたってはフォルムではなく、まずヒンジから取りかかりました。フロントとテンプルに一体感をもたらすためには、接点こそが重要と考えたからです。人体も手や胴体などのパーツがバラバラに接ぎ合わされているのではなく、滑らかにつながる生命体です。メガネも同じように、途切れない有機的なかたちを追求しました」
アルベルト・メダ。「メガネを作るのはこれが初。初めてだからこそ、少し斜めからの視点が得られ、オリジナリティを発揮することができました」。
「ヒンジのピンを最小限に抑えた《UNO》と《DUE》のほか、テンプルとフロントが直接つながりあうヒンジのデザインに挑みました。ヒンジのパーツは金属で考えていたのですが、すり減ってしまう。そこでJINSが教えてくれたのが、耐摩耗性にすぐれた上に美しいエンジニアリングプラスチック素材だったのです。こうして《TRE》《QUATTRO》が誕生しました。良いプロダクトはチームワークからしか生まれない。その好例です」
《UNO》と《DUE》の初期デザイン案。スリットのおかげで異素材に一体感がもたらされ、同時にヒンジの存在感が消失するという効果も。
長距離電車のEチケットに描かれた《TRE》《QUATTRO》のスケッチ。
ネジではなく、カムを使っている。
《UNO》と《DUE》の初期デザイン案。スリットのおかげで異素材に一体感がもたらされ、同時にヒンジの存在感が消失するという効果も。
長距離電車のEチケットに描かれた《TRE》《QUATTRO》のスケッチ。 ネジではなく、カムを使っている。
《メダ》のモデルは、ニューヨークで先行発売されている。場所はソーホーの〈MoMAデザインストア〉。「JINS Design Project」をはじめ、多くの人に届きやすい価格帯で優れたデザインを広く提供する功績がMoMAに認められ、デザインのメッカである同ストアにポップアップを開く機会を得た。

西海岸では5店舗を展開するJINSにとって、東海岸への進出はこれが初。ポップアップ店内には《メダ》はじめ、第一弾からの全シリーズがズラリと並ぶ。壁には話題の「ブレインミラ-」も! JINS独自のAIがメガネの似合い度を自動判定してくれるミラーで、日本では今年1月に導入された。新しく優れたモノをいち早く取り入れたがるのが、ニューヨーカーだ。一人で真剣に、または友達と楽しそうに「ブレインミラ-」の前でメガネを試す姿が、ガラス越しに通りからも見え隠れする。
MoMAストアに入ると、すぐ左手にポップアップが現れる。
似合い度をパーセント数字で教えてくれる「ブレインミラ-」。メダもさっそく《メダ》モデルでトライ。
MoMAストアに入ると、すぐ左手にポップアップが現れる。
似合い度をパーセント数字で教えてくれる「ブレインミラ-」。メダもさっそく《メダ》モデルでトライ。
初・東海岸進出と並ぶ今回の新しい試みが《ワン・グランド・ブックス》とのコラボレーションだ。《ワン・グランド・ブックス》は2015年開業、著名人が選んだ「人生で大切な10冊」を販売する、ユニークなコンセプトの書店。本ポップアップショップには特設の書棚が設けられ、メダをはじめ、このプロジェクトを手がけたデザイナーたちが選んだ10冊を陳列、販売する。その横には人気シェフのアリス・ウォータース、MoMA建築/デザイン部シニアキュレーターのパオラ・アントネッリ、彫刻家リチャード・セラなどの選書も。
メダの選書より。理論物理学者カルロ・ロヴェッリの『The Order of Time』。「近年の発見により、時間の観念は大きく変わった。難解な物理学の話をわかりやすく読ませる素晴らしい著書だ」
『Blindness』José Saramago著。「私が選んだ本は2つのテーマに分かれる。1つは愛、1つは悲しいことだが争い、だね」
『モンテ・クリスト伯』アレクサンドル・デュマ著。「言わずと知れた文豪デュマの名作。非常に長い物語なのだがつい次の章へ、その先の章へ、とグイグイ引きこまれる」
『The Kites』、作者は仏ゴンクール賞に二度輝いたロマン・ガリー。第二次大戦中のノルマンディが舞台の小説だ。このほかルキノ・ヴィスコンティの映画で知られる『山猫』(ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ著)などもセレクト。
《ワン・グランド・ブックス》のオーナー、アーロン・ヒクリン。「産地や味ではなく、飲むときの気分に合わせてセレクトしたワインショップにヒントを得て、著名人が“キュレーション”する本屋を始めました」
メダの選書より。理論物理学者カルロ・ロヴェッリの『The Order of Time』。「近年の発見により、時間の観念は大きく変わった。難解な物理学の話をわかりやすく読ませる素晴らしい著書だ」
『Blindness』José Saramago著。「私が選んだ本は2つのテーマに分かれる。1つは愛、1つは悲しいことだが争い、だね」
『モンテ・クリスト伯』アレクサンドル・デュマ著。「言わずと知れた文豪デュマの名作。非常に長い物語なのだがつい次の章へ、その先の章へ、とグイグイ引きこまれる」
『The Kites』、作者は仏ゴンクール賞に二度輝いたロマン・ガリー。第二次大戦中のノルマンディが舞台の小説だ。このほかルキノ・ヴィスコンティの映画で知られる『山猫』(ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ著)などもセレクト。
《ワン・グランド・ブックス》のオーナー、アーロン・ヒクリン。「産地や味ではなく、飲むときの気分に合わせてセレクトしたワインショップにヒントを得て、著名人が“キュレーション”する本屋を始めました」
フレームとテンプルにおける、新たな「関係性」の中からメガネをデザインしたメダはこう語る。

「今や写真やビジュアルが氾濫し、見た目の第一印象こそすべてともいえる時代だ。しかし人には五感が備わっており、モノの本質や機能を通じてこそ美を知覚する」

「Almost Organic」(ほぼ有機的であること)というテーマを掲げてデザインに挑むメダは、JINSとの協働という関係性をも通じて新境地を生み出した。世界的なデザイン・デスティネーション、MoMAストアから発信される「リアルな実体としての美」を、ぜひ実際に確かめてほしい。

『JINS at MoMA Design Store, Soho』

〈MoMA Design Store, Soho〉81 Spring St., New York TEL (1)646 613 1367。月~土10時~20時、日11時~19時。無休。本ポップアップは8月4日まで。
日本国内では《JINS X Alberto Meda》を7月4日より発売。6月24日からはオンラインで先行販売する。※一部店舗およびECでの取り扱い

アルベルト・メダ

インダストリアルデザイナー。1945年生まれ。ミラノ工科大学で機械工学を学ぶ。1996年に〈Vitra〉から発売された《メダ・チェア》をはじめ、手がけたデザインはイタリアのデザイン賞「ADIコンパッソ・ドーロ・アワード」を多数受賞している。