写真家・鋤田正義の軌跡とロックの歴史に想いを馳せる映画。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

写真家・鋤田正義の軌跡とロックの歴史に想いを馳せる映画。

デヴィッド・ボウイ、イギー・ポップ、YMO、忌野清志郎……数々のミュージシャンを撮り続ける写真家、鋤田正義。彼の軌跡を追ったドキュメンタリー映画が全国で続々と公開中だ。

映画『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』予告編
1938年生まれの鋤田正義は、今年80歳を迎えたばかり。現在でも現役で撮影を行う根っからの写真家だ。映画『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』では、彼がこれまでにポートレイトを撮ったミュージシャンや仕事仲間たちによるさまざまな証言とともに、彼の写真家としての原点も鮮やかに描き出す。
鋤田正義が被写体を捉える姿は、とても静かだ。
とりわけデヴィッド・ボウイのポートレイトの数々は、多くの人々の記憶に強く残っているはず。ロンドンの〈V&A〉でスタートしたデヴィッド・ボウイの回顧展では、鋤田による写真がいたるところに展示されていた。映画では、デヴィッド・ボウイとの運命的な出会い、交流についても描かれている。1973年の渋谷公会堂でデヴィッド・ボウイがほとんど全裸のような状態で歌う姿を捉えた写真について「完全にあの時代が写っている」と鋤田自身は振り返る。アーティストの写真を撮ることは、その時代、その場の一瞬の空気を切り取ることなのだ。
デヴィッド・ボウイ、マーク・ボラン(T・レックス)、イギー・ポップ。鋤田が撮影した写真は数々のアルバムジャケットを飾った。  (c)All the photos by SUKITA. All rights reserved
映画の冒頭では、ロンドン在住の布袋寅泰を鋤田が訪ね、一緒にマーク・ボランが事故死した場所へと赴く。29歳でこの世を去ったマーク・ボランの、ギターを手にした情熱的な一枚の写真を見て、布袋はギターを始めたのだと語る。

ミュージシャンだけではない。映画『ミステリー・トレイン』(1989年)で鋤田にスチル写真を依頼した映画監督のジム・ジャームッシュ、デヴィッド・ボウイの長年の友人であるファッション・デザイナーのポール・スミス、2013年のデヴィッド・ボウイのアルバム『ザ・ネクスト・デイ』で『ヒーローズ』で使用した鋤田の写真を、新たな解釈で起用したグラフィック・デザイナーのジョナサン・バーンブルックなど、数多くのクリエイターたちが鋤田とその仕事について語っていく。時代を駆け抜けるスターと、その一瞬を捉え続ける写真家。一枚の写真が持つ影響力に想いを馳せる映画だ。
(写真左から)イギー・ポップ、鋤田正義、デヴィッド・ボウイ。映画『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』より (c)2018「SUKITA」Partners

『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』

出演:鋤田正義、布袋寅泰、ジム・ジャームッシュ、山本寛斎、永瀬正敏、糸井重里、リリー・フランキー、クリス・トーマス、ポール・スミス、細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏、MIYAVI、PANTA、アキマ・ツネオ、是枝裕和、箭内道彦、立川直樹、高橋靖子ほか。監督:相原裕美。115分。新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開中。 (c)2018「SUKITA」パートナーズ