工芸品のように美しい、インドの出版社〈タラブックス〉の本。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

工芸品のように美しい、インドの出版社〈タラブックス〉の本。

インド南部の街、チェンナイを拠点に活動する出版社〈タラブックス〉。彼らの代表作である絵本『夜の木』は、シルクスクリーンによる印刷の美しさと、手製本による温もりを感じられる、アートピースのような一冊だ。世界を魅了する〈タラブックス〉の本づくりとは? その背景に迫る展覧会が〈板橋区立美術館〉で開催されている。

世界各国の『夜の木』。2006年にインドで生まれた絵本だが、日本では2012年にタムラ堂から出版された。

隅々まで美しい、手製本のアートブック。

〈タラブックス〉の名を知らなくとも、書店で『夜の木』を手に取ったことがある人は多いのではないだろうか。手触りのよい厚手の黒い紙に、生命力みなぎる巨木の絵がプリントされた大判の絵本だ。シルクスクリーンによる鮮やかな発色。細部まで描きこまれた精密な絵。それらを、古い綿布から作ったという漆黒の用紙が引き立てている。カバーも見返しもうっとりするほど仕上げが美しい。数十人の職人がすべて手作業で組み立てたというのも納得だ。
絵本『世界のはじまり』ができるまで(2015年制作)(c) Tara Books
展覧会『世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦』では、〈タラブックス〉の名を世界に知らしめた『夜の木』の原画をはじめ、1994年の創業以来、発表してきた様々な本が約300点の資料によって紹介されている。ハンドメイドブックは彼らの代名詞でもあるが、彼らが作るのはそれだけではない。インドの口承文学を表現した絵巻物のような本や、インドの伝統工芸であるブロックプリントを活用した本など、常に挑戦的な本づくりを続けてきた。展覧会タイトルが示すのは、そんな彼らのチャレンジングな姿勢なのだ。
『夜の木』の原画。
写真家・松岡宏大が撮影したゴンド族の暮らし。その奥には 『夜の木』の原画が。絵本の世界を多角的に感じられる。
『夜の木』原画部分。絵本には3人のゴンド画家が参加している。カラーで描いているのは、バッジュ・シャーム。
『夜の木』原画部分。モノクロで描かれた原画には、〈タラブックス〉の刷り師が独自に色をつけた。

民族画との出会いと、それを伝える絵本。

展示室は大きく4つのスペースに分かれ、メインのひとつでは『夜の木』に代表されるゴンド族との仕事がまとめられている。ゴンド族とはインド中央部に暮らすインド最大の先住民族で彼らの描く民族画は、その詩的さ、知的さにおいて卓越している。〈タラブックス〉もその世界観に魅了されてきた。会場には世界8カ国で出版された様々な言語の『夜の木』の他、写真家・松岡宏大が写したゴンド族の村の風景も展示されている。

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