恐怖の旋律まで手がけた、ジョン・カーペンター監督。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

恐怖の旋律まで手がけた、ジョン・カーペンター監督。

『カーサ ブルータス』2017年11月号より

映画『ハロウィン』や『遊星からの物体X』を撮った巨匠。撮影と同時に、実は劇伴も作っていたというから驚きです。

「音楽ソフト《Logic Pro》を使っているよ。昔のシンセの音源も入っていて超便利だ」とカーペンターさん。
Q 長編監督デビュー作『ダーク・スター』(1)から、劇中のスコア(劇伴)も手がけていますね。
学生時代からだよ。予算がなく、オーケストラを雇えなかったから、シンセサイザーを借りて、マルチトラックを作り、ビッグなサウンドを頑張って作ったのが始まり。

Q 楽器はできたんですか?
父がロイ・オービソンやブレンダ・リーらと共演する音楽家だった。子供の頃、ある日突然「お前もバイオリンを演奏するときが来た」とレッスンが始まってね。もう指は痛いし、大嫌いだった。それが原因でいまだに譜面が読めないんだ。その後にピアノとギターを始めて、音楽が好きになったね。

Q 影響を受けた音楽家は?
ポップスでいったらエルヴィス・プレスリー。彼は50年代に颯爽と現れ、すべてを変えてしまった。映画音楽の作曲家でいえば、ヒッチコック監督作には欠かせないバーナード・ハーマン。ダリオ・アルジェント監督作『サスペリア』や、ジョージ・A・ロメロ監督作『ゾンビ』のスコアを書いたゴブリンのクラウディオ・シモネッティとか。たくさんいるな。
1『ダーク・スター』(74年)
2 『要塞警察』(76年)
3『ハロウィン』(78年)
4 『ニューヨーク1997』(81年)
5 『クリスティーン』(83年)
6 『ゼイリブ』(88年)
代表曲を再録音した新作『ANTHOLOGY』から、収録された楽曲の一部を抜粋。SF〜ホラーに見えるが、ストーリーは非常に風刺の効いた作品で、今見ても胸を打たれる傑作が多い。シンセのシンプルなスコアは、近年テクノ〜電子音作家に再評価され、音楽家としてもデビューを果たした。
Q スコア制作の工程は?
音楽は撮影後、編集用のフィルムを見ながらつけていたんだ。シーンに音楽をのせるように、思いのままに作っていったよ。「どうだ! いい音だろ!」ってね。意外とそんな方法で映画音楽を作っている作家はいなかったんだ。

Q 『要塞警察』(2)や『ハロウィン』(3)など、シンセサイザーを駆使したダークなサウンドは、映画のシーンとマッチして、一度聴いたら忘れられないんですよ。
例えば『ニューヨーク1997』(4)制作時、ベトナム戦争のニュース映像を思い出して。戦争や、人種を隔離するような最悪の未来を予想したんだ(苦笑)。それで不吉なピアノの旋律を弾いた。

Q デストピアを描いた『ゼイリブ』(6)もありますね。
映画自体はすごく政治的だ。でも、ストーリー自体はLAに仕事を求めに来る男の話だから、ブルースが似合うと思ってね。

Q 代表曲を再録音した『ANTHOLOGY』が発表されますね。
息子のダニエルと、なぜかうちに住んでいるキンクスのデイヴ・デイヴィスの息子のダニエルと録音したんだ。昔に比べると、レコーディング技術は本当に便利になって、いい感じで作ったよ(笑)。どんどん新曲ができるんだ。

ジョン・カーペンター

1948年NY生まれ。映画監督として数々の名作を発表しながら、そのスコアも手がける。2015年には『LOST THEMES』を発表し、音楽家としてもデビューを果たす。代表作を再構築した『ANTHOLOGY』が発売中。また、値段が高騰しているサントラ盤の中から『クリスティーン』(5)の再発が決定している。

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