CULTURE
ブライアン・イーノとアフロビート。
September 25, 2014 | Culture | a wall newspaper | photo: Keiko Nakajima text: Katsumi Watanabe
音楽家として、プロデューサーとして、常に新鮮な音楽を探求するイーノ。その根源には、アフリカで生まれた奇跡のようなリズムがあるそうです。
Q 1970年代から、アフリカ音楽の影響を隠さず、探求されています。西洋の音楽との違いは?
近代西洋文化から影響を受けた音楽の多くは、ある種の社会的なステイトメント(声明)になっている。音楽を生み出した社会が、どう形成されているか表すようなね。オーケストラを例にとると、頂点には作曲家がいて……いや、彼らの上には神様が君臨しているか。下には指揮者、各パートのリーダーが続く。まるで軍隊か教会組織の構図みたいだ。僕ら西洋人は、いまだ古典/ルネサンス期に成立した古い構図から離れられずにいる。僕からすると、この構図が描き出す社会の機能ってロクでもないものだと感じているんだ。
Q では、アフリカ音楽は?
多くは大小の打楽器からなる大人数のプレイヤーが一斉に鳴らす、細かなリズムの編み目から生まれてくる音楽で、トップダウンではなく、下部のリズムから沸き上がるボトムアップなんだ。譜面も決まりごともなく、演奏家は自分のやれることをやっていればいい。そんな奏者の結びつきが一つになると、実に美しく複雑な集合ネットワークの音楽を生み出すことになる。一人の人間の発想からは生まれようがなく、素晴らしい作曲家でも譜面に書きえない。
Q あなたはナイジェリアのフェラ・クティから影響を受けたそうですね。彼は50年代に渡英した際、ジェームズ・ブラウンのファンクビートと出会い、地元の「ハイライフ」(西アフリカ発祥の音楽ジャンル)と融合させ、「アフロビート」を作ったとされます。
彼が本当に素晴らしかったのは、西洋のポピュラー音楽を聞いて、ハイライフ特有の大人数で作り上げるビートの魅力を再確認したところだ。フェラのグループは多くて50人近い編成のときもある。『Afrodisiac』『Alagbon Close』『Zombie』『Upside Down』など、好きな曲はたくさんある。
Q 彼が作ったコミューン「カラクタ共和国」の〈シュライン〉というクラブで毎日演奏していたとされていますね。
そこでのライブ以外、ほとんどコマーシャルな演奏を行わず、レコーディングした曲は二度と演奏しなかったらしい。一度きりの演奏を大切にする姿勢というのも、僕にとっては憧れだ。ポピュラー音楽界ではただの変わり者になっちゃうけど(笑)。決して忘れてはいけないことだと思っている。
近代西洋文化から影響を受けた音楽の多くは、ある種の社会的なステイトメント(声明)になっている。音楽を生み出した社会が、どう形成されているか表すようなね。オーケストラを例にとると、頂点には作曲家がいて……いや、彼らの上には神様が君臨しているか。下には指揮者、各パートのリーダーが続く。まるで軍隊か教会組織の構図みたいだ。僕ら西洋人は、いまだ古典/ルネサンス期に成立した古い構図から離れられずにいる。僕からすると、この構図が描き出す社会の機能ってロクでもないものだと感じているんだ。
Q では、アフリカ音楽は?
多くは大小の打楽器からなる大人数のプレイヤーが一斉に鳴らす、細かなリズムの編み目から生まれてくる音楽で、トップダウンではなく、下部のリズムから沸き上がるボトムアップなんだ。譜面も決まりごともなく、演奏家は自分のやれることをやっていればいい。そんな奏者の結びつきが一つになると、実に美しく複雑な集合ネットワークの音楽を生み出すことになる。一人の人間の発想からは生まれようがなく、素晴らしい作曲家でも譜面に書きえない。
Q あなたはナイジェリアのフェラ・クティから影響を受けたそうですね。彼は50年代に渡英した際、ジェームズ・ブラウンのファンクビートと出会い、地元の「ハイライフ」(西アフリカ発祥の音楽ジャンル)と融合させ、「アフロビート」を作ったとされます。
彼が本当に素晴らしかったのは、西洋のポピュラー音楽を聞いて、ハイライフ特有の大人数で作り上げるビートの魅力を再確認したところだ。フェラのグループは多くて50人近い編成のときもある。『Afrodisiac』『Alagbon Close』『Zombie』『Upside Down』など、好きな曲はたくさんある。
Q 彼が作ったコミューン「カラクタ共和国」の〈シュライン〉というクラブで毎日演奏していたとされていますね。
そこでのライブ以外、ほとんどコマーシャルな演奏を行わず、レコーディングした曲は二度と演奏しなかったらしい。一度きりの演奏を大切にする姿勢というのも、僕にとっては憧れだ。ポピュラー音楽界ではただの変わり者になっちゃうけど(笑)。決して忘れてはいけないことだと思っている。
BRIAN ENO
ブライアン・イーノ ロキシーミュージックでキャリアをスタートさせ、トーキング・ヘッズ、U2など20世紀の名盤の数々をプロデュース。アンダーワールドのカール・ハイドとのプロジェクト〈ENO・HYDE〉でアルバム『SOMEDAY WORLD』『HIGH LIFE』、アプリ『ENO・HYDE』をリリース。