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Chill CARS|《いすゞ ジェミニ(1st)》ミニマルなデザインを持つ、輸入車的な国産車。

『カーサ ブルータス』2025年1月号より

| Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako   text_Izuru Endo   illustration_Daijiro Ohara

国産車のほとんどは日本で開発・生産されるが、近年ではあらかじめ海外市場での販売を見越したクルマも少なくない。しかしかつては、国内専売車が大多数だった。

いすゞ ジェミニ(1st)
いすゞ ジェミニ(1st)
一例として1970年代前半の国産車は、視覚的に高級感のあるクルマが好まれ、内外装デザインも装飾過多気味だった。それは大衆車クラスでも同様で、抑揚が大きい派手なボディラインを持つクルマも少なくなかった。

しかし、〈いすゞ〉が1974年に発売した初代《ジェミニ》は、極めてシンプルなデザインを特徴とした。車体はプレーンな面で構成され、過度なメッキの使用、派手な造形も抑えられていた。

それには理由があった。初代《ジェミニ》は、アメリカに本社を置く〈GM〉によるグローバルカー構想「Tカー」の一員として開発されたためだ。Tカーの開発は、〈GM〉傘下だったドイツの〈オペル〉が主体。71年に〈GM〉と調印した〈いすゞ〉が《ジェミニ》を送り出した際、その外装は〈オペル〉のTカー《カデット》に準拠していた。《ジェミニ》が国産車らしからぬ輸入車的な雰囲気があるのも納得だ。

昨今の国産車はシンプルなデザインに回帰しつつあるが、デビュー後約50年を経た《ジェミニ》を観察すると、余計な要素を排したミニマルさに改めて驚かされる。洗練と雑多が入り交じる現代の街中に《ジェミニ》を置けば、そのクリーンさはより一層際立って見えるのではないだろうか。
背もたれとヘッドレストが一体化したハイバックシートは、1970年代のクルマではよく見られた。
背もたれとヘッドレストが一体化したハイバックシートは、1970年代のクルマではよく見られた。
撮影車は、後方にスラントするノーズを持つ貴重な初期型。
撮影車は、後方にスラントするノーズを持つ貴重な初期型。
横基調デザインのリアビュー。細長いテールライトは初期型だけの装備。
横基調デザインのリアビュー。細長いテールライトは初期型だけの装備。
メーターパネルは逆台形形状で珍しい。マニュアルトランスミッションのシフトノブは、フロアの前方から生える。
メーターパネルは逆台形形状で珍しい。マニュアルトランスミッションのシフトノブは、フロアの前方から生える。
背もたれとヘッドレストが一体化したハイバックシートは、1970年代のクルマではよく見られた。
撮影車は、後方にスラントするノーズを持つ貴重な初期型。
横基調デザインのリアビュー。細長いテールライトは初期型だけの装備。
メーターパネルは逆台形形状で珍しい。マニュアルトランスミッションのシフトノブは、フロアの前方から生える。

country: Japan
year: 1974-87
seats: 5
size: L4,135×W1,570×H1,360mm
price: approx 3,300,000 yen

special thanks to ISUZU SPORTS(TEL 0800 800 4117)
※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。

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