VEHICLE
Chill CARS|各国で量産された、簡潔にして完成度の高いスタンダードカー。
『カーサ ブルータス』2022年5月号より
May 1, 2022 | Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Izuru Endo editor_Daijiro Ohara
世界のクルマには、ごくありふれた設計で、外観もおとなしいセダンが、ユーザーから支持を得て、ベストセラーになった事例が多い。
その代表例が、イタリア〈フィアット〉が1966年に発表した《124》だ。流麗さとは無縁の箱型ボディに、熟成されたメカニズム、粘り強いエンジンを搭載。人目を引くような派手さや、手に余る高性能の代わりに、広い室内とラゲッジルーム、耐久性の高さ、街中の発進加速から高速道路まで、どの速度域でも対応できるパワーがあり、スタンダードカーとしての総合的な性能が高かった。さらに、積載性を高め、便利なテールゲートを装備したステーションワゴン版の“ファミリアーレ”仕様は、仕事やレジャーに使える多目的車として人気を博した。
スタンダードカーとしての優れた資質と簡潔な設計により、発展途上国でも生産が可能だった《124》は、世界各地で現地生産が行われ、小改良を重ねながら2010年代まで販売を継続。総台数は約1500万台に達し、特に東欧の各国では国民車的存在にもなった。
現在では快適装備の増加により量販車種の高級化や設計の複雑化が進み、《124》のようなシンプルながらも完成度が高いクルマは生まれにくい。世界中で愛されたスタンダードカー《124》には、これからのクルマには何が必要で何が不要なのか、という答えのヒントが詰まっていると言えるかもしれない。
スタンダードカーとしての優れた資質と簡潔な設計により、発展途上国でも生産が可能だった《124》は、世界各地で現地生産が行われ、小改良を重ねながら2010年代まで販売を継続。総台数は約1500万台に達し、特に東欧の各国では国民車的存在にもなった。
現在では快適装備の増加により量販車種の高級化や設計の複雑化が進み、《124》のようなシンプルながらも完成度が高いクルマは生まれにくい。世界中で愛されたスタンダードカー《124》には、これからのクルマには何が必要で何が不要なのか、という答えのヒントが詰まっていると言えるかもしれない。
country: Italy
year: 1966-74
seats: 5
size: L4,030×W1,625×H1,440mm
price: approx 2,500,000 yen
special thanks to Masaru Nakamoto
※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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