VEHICLE
Chill CARS|肩肘を張らずに乗れる、時代を先取りした小さなSUV。
『カーサ ブルータス』2021年5月号より
April 13, 2021 | Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Izuru Endo illustration_Daijiro Ohara
クルマは、時代や流行に合わせて生み出されるため、時代が変わると、価値観が合わなくなったと感じることがある。しかし中には、今日を先読みして開発されたようなクルマもある。
その一つが、1994年に〈日産〉が発売した小型SUV《ラシーン》だ。遊び心あるデザインやコンセプトを持つ、“パイクカー” と呼ばれる少量生産車のモデルだ。
《ラシーン》は、都会から自然の中まで生活の場を広げることができるクルマ、がコンセプト。あえて装飾をそぎ落とし道具に徹したような外観からは、高級車のような威圧感はなく、かといってチープな雰囲気もない。アフターバブルの時代は、目を三角にして乗るような高性能車や、高級装備を盛り込んだ高級車であふれていたため、《ラシーン》のシンプルさは新鮮だった。
《ラシーン》はSUVを謳っていたが、ベースの《サニー》をSUVらしく仕立てただけだったので、実際には本格的な悪路走破能力はなかった。あくまでも、肩肘を張らずカジュアルに乗る「SUV的な小さな乗用車」だった。
それはまさに、現在の市場でヒットしている小型SUVの性格そのものではないだろうか。販売終了から20年以上が経った現在でも《ラシーン》が高い人気を保つ理由はそこにある。流行に流されず、むしろ時代を超越してきた《ラシーン》なら、これから先も時代の先端に居続けることができるかもしれない。
《ラシーン》は、都会から自然の中まで生活の場を広げることができるクルマ、がコンセプト。あえて装飾をそぎ落とし道具に徹したような外観からは、高級車のような威圧感はなく、かといってチープな雰囲気もない。アフターバブルの時代は、目を三角にして乗るような高性能車や、高級装備を盛り込んだ高級車であふれていたため、《ラシーン》のシンプルさは新鮮だった。
《ラシーン》はSUVを謳っていたが、ベースの《サニー》をSUVらしく仕立てただけだったので、実際には本格的な悪路走破能力はなかった。あくまでも、肩肘を張らずカジュアルに乗る「SUV的な小さな乗用車」だった。
それはまさに、現在の市場でヒットしている小型SUVの性格そのものではないだろうか。販売終了から20年以上が経った現在でも《ラシーン》が高い人気を保つ理由はそこにある。流行に流されず、むしろ時代を超越してきた《ラシーン》なら、これから先も時代の先端に居続けることができるかもしれない。
country: Japan
year: 1994-2000
seats: 5
size: L4,210×W1,695×H1,515mm
price: approx 900,000 yen
special thanks to BLOOOM!(TEL 045 814 0510)
※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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