TRAVEL
山口で、昼も夜もメディアアートを楽しもう!
December 26, 2021 | Travel, Art | casabrutus.com | photo_Satoshi Nagare text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
光のアートが夜の遊園地を彩る『TOKIWAファンタジア 2021』に、磯崎新設計の美術館や庭園が美しい寺院で展開される坂本龍一+高谷史郎のインスタレーション。昼も夜も最先端アートが見られる山口県へ、芸術の冬を楽しみに行きませんか?
●夜の遊園地を巡る、光のフェスティバル
工業が盛んな山口県宇部市の〈ときわ遊園地〉で開かれる『TOKIWAファンタジア 2021』は市民参加のイルミネーションイベントとして13年前に始められたもの。昨年からキュレーターが入ってアーティストが参加するようになった。今年は中﨑透や中山晃子ら5名の作家が出品している。
園内のあちこちに現れる不思議なキャラクターとオブジェは中﨑透の《うべこべうべべ と あべこべあべべ》だ。いつも仲良しの「うべべ」と「あべべ」の冒険を追う。作品は園内14ヶ所に点在していて、宝探しのように見つける楽しみがある。大冒険に出発した二人は長靴の木を見つけたり、人さらいに捕まってしまったり、光る乗り物で逃げ出したり。順番の通りに園内をめぐっていくと物語もオブジェもだんだんとカオスに陥っていく。でも物語の終わりにはまた始まりがあって、それまでとは違う日常が始まる。
中山晃子はものの絶えず変容する姿をとらえる画家だ。「Alive Painting」と題した、さまざまな液体や個体の動きを見せるパフォーマンスを行っている。『TOKIWAファンタジア 2021』開幕初日の夜にもパフォーマンスを披露した。小さな容器に粒子や比重の違う液体を流し込み、その様子をプロジェクターで拡大し、投影する。いろいろな色の液体が滲んだり反発しあって幻想的な光景が広がる。
「水墨画の技法のなかで、紙と水の性質によって白線を浮かび上がらせる『筋目描き』や、輪郭を描かずにぼかした色面で空気や光を表す『朦朧体』という技法があります。そういった水、墨、紙の研究に加え、江戸時代には当時輸入されたばかりのレンズを使って『眼鏡絵』という独自の遠近法の探究が始まりました。そんなことを考えながら制作していると、テクノロジーと美術はいつの時代も二人三脚で時代を彩っているのだなと思います」(中山晃子)
「水墨画の技法のなかで、紙と水の性質によって白線を浮かび上がらせる『筋目描き』や、輪郭を描かずにぼかした色面で空気や光を表す『朦朧体』という技法があります。そういった水、墨、紙の研究に加え、江戸時代には当時輸入されたばかりのレンズを使って『眼鏡絵』という独自の遠近法の探究が始まりました。そんなことを考えながら制作していると、テクノロジーと美術はいつの時代も二人三脚で時代を彩っているのだなと思います」(中山晃子)
〈ときわ遊園地〉にはカピバラやシロテテナガザルなどが飼育されている〈ときわ動物園〉がある。この動物園では1985年に日本で初めてモモイロペリカンの人工孵化に成功、「カッタくん」と名づけられた。カッタくんは行動的で人懐こく、園を飛び出して近くの幼稚園に”通園”、子供たちと遊んだり踊ったりして全国的に有名になった。
カッタくんは残念ながら2008年に虹の橋を渡ってしまったのだが、今回の『TOKIWAファンタジア 2021』でその気配を感じることができる。園内にある大きな卵などは羊屋白玉が代表をつとめる「指輪ホテル」がカッタくんをイメージしてつくった作品《モモイロペリカンフラクタル》だ。赤い蝶ネクタイがトレードマークのカッタくんにまた会える。
カッタくんは残念ながら2008年に虹の橋を渡ってしまったのだが、今回の『TOKIWAファンタジア 2021』でその気配を感じることができる。園内にある大きな卵などは羊屋白玉が代表をつとめる「指輪ホテル」がカッタくんをイメージしてつくった作品《モモイロペリカンフラクタル》だ。赤い蝶ネクタイがトレードマークのカッタくんにまた会える。
Loading...
Loading...