FOOD
京のおやつと箸休め | 上生菓子。
July 30, 2014 | Food | a wall newspaper | photo: Kunihiro Fukumori text: Shoko Nishimura
老舗菓子司で育んだDNAと新しい発想をもって作る伝統を踏まえ、今に生きる和菓子。茶人ならずともいただきたくなる涼菓をご紹介。
西陣の老舗菓子司〈塩芳軒〉の4代目の次男として生まれ育ったご主人・髙家裕典さんが作る涼しげな夏の上生菓子。実家と名古屋の名店〈芳光〉で延べ10年修業を積み、今は上生菓子のみを製作。オープン当初は肩に力が入り、思うものができなかったと語るが、最近は心の余裕とスキルアップによって菓子の練度を上げている。開業して8年にして地元で注目を集め、茶人の間でもすこぶる評判がよい。夏の菓子は口当たりのよい葛や泡雪かん、錦玉、寒天などを使い、シンプルなデザインで涼感を演出。「緑陰」は緑の餡でこし餡を包んで緑と陰を表し、「波の華」は黒砂糖を用いるなど、抽象の中に清新な夏の情景を映し出している。
生菓子のみを扱い常時5〜6種類を揃える。菓子はすべて要予約。
聚洸
じゅこう 伝統の菓子作りの基本を押さえつつ、品よく、味わい深い菓子を手がける。茶事の趣向に合う菓子も対応。1個350円(税込)〜。●京都市上京区大宮通寺之内上ル西側 TEL 075 431 2800。10時〜17時。水曜・日曜・祝日休。
西村晶子
関西在住ライター。京都を中心に日本の料理、食文化を取材。夏の到来を前に早くも鱧と鮎三昧の日々を過ごす。