FOOD
予約がとれない日本料理店が手がける甘味割烹〈廚 菓子くろぎ〉|寺尾妙子のNEWSなレストラン
December 19, 2020 | Food | casabrutus.com | photo_Kayoko Aoki text_Taeko Terao editor_Rie Nishikawa
1年先まで予約が埋まっているという大門の日本料理店〈くろぎ〉が、かつて店を構えていた湯島の一軒家にカフェブランドの本店となる〈廚(くりや)菓子くろぎ〉をオープン。圧巻のクオリティで ‘和のアフタヌーンティー’ コースを提供している。
メニューはコースかセットのみ。「甘味割烹」コース4,200円は最初に焼き胡麻豆腐や赤飯を中心にした軽い食事が出て、かき氷か蕨もちから1種を選び、さらに季節の生菓子、そしてお茶3種がつく。さながら和のアフタヌーンティーのよう。「廚菓子セット」2,800円は5種類から甘味を2種選び、好みの飲み物1種がつく。それらすべてが、できたて!
注目のかき氷は、ほかの2店よりシンプルなスタイル。具材を絞り込んでいるため、柿や紅玉など旬のフルーツを使ったソースや定番の自家製粒あんなど、素材の持ち味がストレートに伝わってくる。
「柿のソースは甘さのピークを見極めて完熟させたものに、干し柿を合わせてちょっと火を入れた程度。自家製粒あんは噛んだときプチッと弾けるような食感になるよう、潰し具合に気を遣っています」(店長、清藤亮佑)。
注目のかき氷は、ほかの2店よりシンプルなスタイル。具材を絞り込んでいるため、柿や紅玉など旬のフルーツを使ったソースや定番の自家製粒あんなど、素材の持ち味がストレートに伝わってくる。
「柿のソースは甘さのピークを見極めて完熟させたものに、干し柿を合わせてちょっと火を入れた程度。自家製粒あんは噛んだときプチッと弾けるような食感になるよう、潰し具合に気を遣っています」(店長、清藤亮佑)。
店長、清藤亮佑はじめ、パリッとした白衣に身を包んだスタッフによるハキのある声での接客は高級割烹のおもてなしそのもの。セットやコースも、まるで懐石が始まるかのように温かな桜茶とひと口ぜんざいが突き出しとして出され、コースなら陶板の上で醤油がジュージュー音と香りを立ててやってくる「【先付け】焼き胡麻豆腐」「【御凌ぎ】赤飯膳」が続く。
「炒った胡麻を練り上げた胡麻豆腐や国産黒毛和牛のリブロースを使った牛しぐれ煮など、料理の食材や作り方はすべて日本料理〈くろぎ〉と同じです」(店長)。
「炒った胡麻を練り上げた胡麻豆腐や国産黒毛和牛のリブロースを使った牛しぐれ煮など、料理の食材や作り方はすべて日本料理〈くろぎ〉と同じです」(店長)。
セットなら5種から2種を、コースならかき氷か蕨もちの選択を迫られる。選びきれず、お腹に余裕があるなら1品600円で追加も可能だ。
日本料理も甘味も〈くろぎ〉を訪れるのが初めてならば、シグネチャーである「蕨もち」は絶対に食べて欲しい。食べる直前につくり始め、カウンターなら目の前ででき上がっていく。火にかけた鍋で練り上げたら、通常は氷水で生地を締めるのだが、冬場はあえてお湯に落とす。ほの温かく、やわらかい食感もいい。
また、漉したてでフワフワの栗きんとんなどが登場する「季節の上生菓子」も見逃せない。
日本料理も甘味も〈くろぎ〉を訪れるのが初めてならば、シグネチャーである「蕨もち」は絶対に食べて欲しい。食べる直前につくり始め、カウンターなら目の前ででき上がっていく。火にかけた鍋で練り上げたら、通常は氷水で生地を締めるのだが、冬場はあえてお湯に落とす。ほの温かく、やわらかい食感もいい。
また、漉したてでフワフワの栗きんとんなどが登場する「季節の上生菓子」も見逃せない。
店を出たら、角を曲がるまで見送られるところも含め、そのスタイルは日本料理〈くろぎ〉そのもの。味だけでなく、おもてなしまで高級割烹レベルの甘味処が誕生した。
〈廚 菓子くろぎ〉
東京都文京区湯島3-35-1 TEL 03 5817 8121。11時〜18時LO(コース17時LO)。水曜休(2020年12月27日〜2021年1月6日休)。「廚菓子セット」2,800円〜、「甘味割烹」コース4,200円〜。日本酒1合1,000円〜、八海山ライディーンビール1,000円(以上、税込)。2020年11月28日オープン。〈廚 菓子くろぎ〉は東大の敷地内や〈上野 parco_ya〉に姉妹店が2軒ある。
illustration Yoshifumi Takeda
寺尾妙子
てらお たえこ 食ライターとして雑誌やWEBで執筆。好きな食材はごはん、じゃがいも、トリュフ。現在、趣味の茶の湯に邁進中。