FASHION
コピーは罪か? 〈グッチ〉とアーティストが巻き起こすスキャンダラスな展覧会。
October 30, 2018 | Fashion, Art, Travel | casabrutus.com | text_Mariko Uramoto editor_Keiko Kusano
〈グッチ〉のクリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレとセンセーショナルな作品で知られるアーティスト、マウリツィオ・カテラン。2人が共犯者となり、アプロプリエーション(盗用芸術)をテーマにした展覧会『The Artist is Present』を上海で開催中。オリジナルは一流であり正義? コピーは二流でタブー? この展示を見れば、その認識がぐらぐらと揺らぐのを感じるはずだ。
イタリアのアートマガジン『TOILETPAPER』を手がけることでも有名なアーティストのマウリツィオ・カテラン。「現代のアートシーンにおいてオリジナリティが絶対的に過大評価されている」と警鐘を鳴らすアレッサンドロ・ミケーレに共鳴し、キュレーターとして「コピー」をテーマにした展示プロジェクトを作り上げた。舞台は上海。アプロプリエーション(盗用芸術)やコピーにまつわる表現、もしくはその手法を取り入れたアーティスト約30組にフォーカスする。アプロプリエーションとは、先人たちの作品や日用品、イメージなどさまざまなものをモチーフにして、独自のアレンジを加えてアートに発展させることである。
本展は巨大な上海〈余徳燿美術館〉(Yuz Museum)の一部を17の部屋に分け、空間を構成。スペースを細かくしたことで作品世界とメッセージを明確に伝える。中国からは、上海を拠点に活動するシュー・ジェンをはじめ3人のアーティストが出展している。
本展は巨大な上海〈余徳燿美術館〉(Yuz Museum)の一部を17の部屋に分け、空間を構成。スペースを細かくしたことで作品世界とメッセージを明確に伝える。中国からは、上海を拠点に活動するシュー・ジェンをはじめ3人のアーティストが出展している。
シュー・ジェンの代表作《エタニティー》シリーズのひとつは、唐時代に作られた仏像の胴体とパルテノン神殿の立体彫刻をミックスし、東洋と西洋、時代や文明の境界線を曖昧にしてみせる。
キュレーターを務めるカテラン自身も出品しており、バチカン市国にある〈システィーナ礼拝堂〉を1/6スケールで再現した。壁面、天井、床など360度を覆い尽くす壮観なフレスコ画を間近に眺めることができ、圧倒される。ちなみに、2016年からメキシコでは〈システィーナ礼拝堂〉の実物大レプリカが登場し、話題を呼んでいる。レプリカは数年をかけて国内を巡回しており、各地で熱烈な歓迎を受けているという。その事実からもコピーの概念を考えてみるという試みだ。神聖なるミケランジェロやボッティチェリの複製絵画は彼らに対する冒涜か? いや、それもまた観た者の心を動かす、れっきとしたアートなのだ。
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