トリノの〈MUSEO CASA MOLLINO〉|川合将人のインテリアスナップ
August 7, 2018 | Design, Architecture, Art, Travel | casabrutus.com | photo_ Adam Bartos text_ Masato Kawai
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リビングからダイニングへの眺め。ガラス製の花々が輝く〈ヴェニーニ〉のシャンデリアをはじめ、カスタムメイドしたベンチの上に飾られた大きな貝や彫像など、モリーノは、自然の造形物や人体をモチーフにしたオブジェでインテリアを飾りました。手前のリビングと奥のダイニングの間には、天井から床まで届く大きなカーテンが下がり、間仕切りとして使うことができます。日本の襖を思わせる右手のスライドドアの先には、明るく鮮やかなタイルを貼った床がエントランスまで続いています。
アンティーク加工された大きなミラーのあるダイニングルーム。ミラーにかかった独特のエフェクトが不思議な反射効果をもたらしています。またミラー下部に取り付けられたコンソールやダイニングテーブルの天板、コーナーに置かれた小振りな円形テーブル、壁に設置された収納ユニットのトップには、すべて同じ大理石を使用しています。大きな提灯型のペンダントランプは、モリーノが1965年に、チューリッヒの〈ヴォーンべダルフ〉で購入したもの。チェアは《チューリップチェア》で統一されています。
壁に面した、もう一方のリビング。中央の暖炉はモリーノ自身がデザインしたもので、遠近感を強調するために、あえてスケールを小さくしました。上に置かれた時計と、横にある19世紀のイージーチェアは、モリーノの父親の家にあったもの。ほかには、ヴィコ・マジストレッティのデザインしたセンターテーブル《カオリ》、フリンジを使った〈アルテルーチェ〉のランプ《597》、右のオズヴァルド・ボルサーニのソファ《D70》などが、当時のモリーノの感性で選ばれています。
豹柄に蝶が壁を埋め尽くす寝室は「バタフライルーム」と呼ばれています。19 世紀の船型ボートスタイルのベッドは、画家のピエロ・マルティナから与えられたもの。この寝室は古代エジプト時代の「旅」をイメージした空間で、ボートが通過する川のような深いブルーのカーペットを合わせたそうです。