DESIGN
【あの人の仕事場から学ぶインテリア / Case06】整然と混沌が共存。楽しむ収納で使い勝手の良い空間に
『カーサ ブルータス』2024年7月号より
September 6, 2024 | Design | あの人の仕事場から学ぶインテリア | photo_Ikuya Sasaki text_Yoshinao Yamada
クリエイターたちが、その創作哲学を表現する空間には、真似したいインテリアのアイデアが詰まっています。発売中の特集『仕事場とインテリア。』より、色使い、DIY、収納など、仕事場を形づくる独自の視点に迫ります。
全6回にわたる本企画の第6回は、混沌としていながら、すべてに目が届く仕事場。楽しむ収納でその使い勝手のいい空間を実現したのは、アーティストでイラストレーターの前田麦さんです。
●整然と混沌を共存させる柱と壁面。|前田麦(アーティスト/イラストレーター)
すべてに手が届くことが、生活と地続きにある創作を支える。
地元札幌を拠点に活躍するアーティストでイラストレーターの前田麦さん。かつて倉庫街だった中心街に近いエリアで、その名残があるビルの一室にアトリエを置く。入居の決め手はホームセンターが隣接すること。たとえば研磨用水やすりをキャンバスにした絵画シリーズ《トランスルーセント》の個展時は「何度通ったかわからない」ほど、道具や素材の調達を続けた。壁に目を向ければ、無数の道具や素材が存在感を放つ。その収納が設計の依頼時に大きなポイントとなった。
「もともと散らかしやすい性格で、将来的にものが溢れて床を侵食することが目に見えていました。とにかく収納を増やし、さらに柱へ何かを打ちつけたいという思いもあったので柱と収納の共存を大きなテーマに設計を依頼しました」
地元札幌を拠点に活躍するアーティストでイラストレーターの前田麦さん。かつて倉庫街だった中心街に近いエリアで、その名残があるビルの一室にアトリエを置く。入居の決め手はホームセンターが隣接すること。たとえば研磨用水やすりをキャンバスにした絵画シリーズ《トランスルーセント》の個展時は「何度通ったかわからない」ほど、道具や素材の調達を続けた。壁に目を向ければ、無数の道具や素材が存在感を放つ。その収納が設計の依頼時に大きなポイントとなった。
「もともと散らかしやすい性格で、将来的にものが溢れて床を侵食することが目に見えていました。とにかく収納を増やし、さらに柱へ何かを打ちつけたいという思いもあったので柱と収納の共存を大きなテーマに設計を依頼しました」
アトリエ中央には構造の役割を持たない柱が飾るために存在する。他の柱は収納の棚板を支えるが、これらはリボンリールの直径や収納に使う農業用コンテナのモジュールにのっとることで無駄のない収納を実現している。同時に有孔ボードの壁や造作は道具を吊るほか、ディスプレイとしても活用。印象的な鮮やかな青い床は「作業場にしたいとの思いもあって」、工場で使われるビニル床シート素材を採用したものだ。掃除がしやすく、素材の破片も見つけやすい。
「収納と考えると大変ですが飾りを楽しむと考えれば運用できそうだと。ですから当初から物が少なくミニマムな空間の逆を想定し、コンクリートむき出しの床や天井にはしたくなかったんです」
「収納と考えると大変ですが飾りを楽しむと考えれば運用できそうだと。ですから当初から物が少なくミニマムな空間の逆を想定し、コンクリートむき出しの床や天井にはしたくなかったんです」
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