DESIGN
アフロと民藝、二つの文化が絡み合って生まれる美。シアスター・ゲイツの日本初&アジア最大規模の個展へ。
June 23, 2024 | Design, Art | a wall newspaper | text_Naoko Aono
日米の文化を行き来するようなシアスター・ゲイツのアート。私たちも気づかなかったことが見えてきます。
シアスター・ゲイツはアメリカ・シカゴ出身のアフリカ系アメリカ人のアーティスト。2004年に初めて来日して以来、陶芸をはじめとする日本文化に大きな関心を寄せてきた。個展のタイトル「アフロ民藝」はアフリカ系を表す「アフロ」と柳宗悦らが提唱した「民藝」とを合わせた言葉だ。その背景にはアフリカ系アメリカ人への差別に抵抗する公民権運動やブラック・イズ・ビューティフルなどのムーブメントと、顧みられることのなかった工芸品に美を見出した柳の民藝運動に通底するものがあるとの考え方がある。
展覧会は5部構成。最初の「神聖な空間」にはタール職人だったゲイツの父が葺いた屋根の一部を用いた作品や、彼がセレクトした他の作家の作品が並ぶ。その次はアフリカ系アメリカ人に関する書籍や雑誌を集めた「ブラック・ライブラリー&ブラック・スペース」だ。3つ目のセクションでは「ブラックネス」(黒人であること)に関する作品を見せる。その先には年表が掲示され、民藝、常滑、アフリカ系アメリカ人、そしてゲイツが創造した架空の陶芸家、山口庄司にまつわる資料が並置される。最後の「アフロ民藝」では常滑の陶芸家・小出芳弘の作品群やバーのようなインスタレーションが展示される。
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