DESIGN
内藤廣が手がけた真っ黒な空間〈銀座 黒田陶苑〉で、魯山人の器を見る。
『カーサ ブルータス』2024年6月号より
May 17, 2024 | Design, Architecture | window on the world | photo_Masaki Ogawa text_Yoshinao Yamada
1935年に創業した〈銀座 黒田陶苑〉は、北大路魯山人、濱田庄司らの作品をはじめ、日本の現代陶芸、古陶磁などを扱う名店だ。
ビルの建て替えに伴い本店を新たにオープンさせたが、その空間を建築家の内藤廣が手がけた。
以前から同店を知る内藤は、旧店舗が暗めの空間であったことから「闇」をテーマに設計を行い、どこまでも深い黒を空間に表現した。エレベーターホールのエントランスは、店の内外を貫くガラスのショーケースでわずかに内部の様子を知らせるほか、自動ドアは黒いピアノ塗装で仕上げた。
以前から同店を知る内藤は、旧店舗が暗めの空間であったことから「闇」をテーマに設計を行い、どこまでも深い黒を空間に表現した。エレベーターホールのエントランスは、店の内外を貫くガラスのショーケースでわずかに内部の様子を知らせるほか、自動ドアは黒いピアノ塗装で仕上げた。
内部に足を踏み入れると、床、壁、天井を黒で覆い尽くした空間で非常に静かだ。実は壁と天井に吸音材を使い、視覚だけでなく聴覚にも効果のある空間とした。こうした闇の中で作品を眺めてほしいと内藤は言う。歴史的な古陶磁から近現代の名人によるさまざまな作品が並ぶ姿はさながら美術館のよう。銀座の喧噪を逃れ、古今東西の名品を静かな闇の中で眺めることができる唯一無二の空間だ。
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