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【今週の花と器】菊(チスパ)と〈スーパーノヴァ〉の《フラワーベース》|2月
February 19, 2024 | Design | casabrutus.com | photo_Kiyoe Ozawa styling_Yumi Nakata text_Yoshikatsu Yamato
2月3週目の担当は、祐天寺にある花屋〈チビ〉を営む芳賀規良さん。花火のような菊(チスパ)の姿は、植物が冬に蓄えてきた力を、春にぱっと開かせる様子を体現しているよう。そんな花に掛け合わせたのは、人工大理石のブルーの器です。色の掛け合わせには派手なコントラストを効かせながらも、あくまでもさりげなく一輪で活ける。そこには、芳賀さんらしい「侘び寂び」の感覚があるようです。
真っ直ぐに伸びた茎から、ぽんっと花火がはじける。この菊(チスパ)はそんな想像をさせてくれる花です。2月は、季節が冬から春にかけて変化していく時期でしょう。降り積もっていた雪から、熱い火が灯る。この姿形からは、この連載で何度か話してきた「花の力」がダイレクトに感じられるように思います。赤茶色のこまやかな線が集まって放射状に開く姿形は一見派手ですが、色は渋い。濃い赤茶色から黄色に変化していくグラデーションは、まさに花火が打ち上がる一瞬の軌跡のよう。この大輪が、先端からしだいに丸まっていきながら時間をかけて朽ちていくのです。
今回の器に対しては、花弁が大きいので物理的なバランスとしても、印象としても一輪で十分。この菊(チスパ)のように単体で見た時に印象の濃い存在を部屋に飾るときは、複数で活けると、格好がつきすぎてしまうというか、飾る人の作為を感じ過ぎてしまう。日々の生活のなかには馴染まないということです。自然が作る造形に強さがあるものこそ、ぱっと一輪で活ける。それが粋だと思いますね。
菊は深い緑色の茎もいい。感覚的なバランスですが、花火のイメージがあったので、茎の長さはある程度は残しました。短く切り、器の口からすぐに花びらが広がるようなイコールの関係にする選択肢もあったとは思いますが、長さを残すことで、今回は花に勝たせている。器と花の緊張関係を、それぞれの形や色から感じ取りながら、そのバランスにおいて、どちらかの力を強調するのか、均衡を取るのか。この関係性の捉え方を自分なりに持つと、ふとしたときに部屋で見る花や、そこを訪れた人の心に残る、さりげなくも凛とした強さのある花を活けられるようになるはずです。
今回の器に対しては、花弁が大きいので物理的なバランスとしても、印象としても一輪で十分。この菊(チスパ)のように単体で見た時に印象の濃い存在を部屋に飾るときは、複数で活けると、格好がつきすぎてしまうというか、飾る人の作為を感じ過ぎてしまう。日々の生活のなかには馴染まないということです。自然が作る造形に強さがあるものこそ、ぱっと一輪で活ける。それが粋だと思いますね。
菊は深い緑色の茎もいい。感覚的なバランスですが、花火のイメージがあったので、茎の長さはある程度は残しました。短く切り、器の口からすぐに花びらが広がるようなイコールの関係にする選択肢もあったとは思いますが、長さを残すことで、今回は花に勝たせている。器と花の緊張関係を、それぞれの形や色から感じ取りながら、そのバランスにおいて、どちらかの力を強調するのか、均衡を取るのか。この関係性の捉え方を自分なりに持つと、ふとしたときに部屋で見る花や、そこを訪れた人の心に残る、さりげなくも凛とした強さのある花を活けられるようになるはずです。
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