DESIGN
深澤直人がモルテーニとはじめて取り組んだのは、新しいアイコンソファです。
November 23, 2023 | Design | casabrutus.com | photo_Masaki Inoue text_Yoshinao Yamada
世界を代表する家具メーカーの数々と仕事を重ねる深澤直人。今年のミラノサローネで発表された最新作のソファ《シナモン》とシェーズロング《トスカーニ》が、イタリアの家具メーカー〈モルテーニ〉から発売された。意外にも深澤がモルテーニと仕事をするのははじめてのこと。そのデザインを聞きに、深澤を訪ねた。
2016年からモルテーニは、建築家のヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンをクリエイティブディレクターに起用している。マテリアルの力強さを引き出したミニマルなデザインで知られるヴァン・ドゥイセンは自作を含め、イタリアのクラシックに目を向けた重厚なデザインを多く打ち出してきた。そのなかで深澤が提案した2つの新作家具は、ポップさと愛らしさを備えたデザインでモルテーニに新たな風を吹き込む。
モルテーニからのコンタクトは突然だったと深澤は振り返る。彼らは以前から深澤に強い関心をもっていたようで、深澤はミラノ滞在時に彼らのプレゼンテーションを聞き、そのものづくりのあり方に耳を傾けた。もともとモルテーニは質の高い家具を作るメーカーという印象を抱いていたという。同じミラノ周辺を拠点に持つモダンな家具メーカーのアバンギャルドでテクニカルなイメージよりも、アーティスティックでハンドクラフト的要素に魅力を感じるメーカー。そうした伝統的なスタイルに魅力を感じ、依頼を引き受けることにした。しかし深澤はモルテーニを読み解きながら、これまでの彼らにない新しいスタイルを提案することになる。
モルテーニからのコンタクトは突然だったと深澤は振り返る。彼らは以前から深澤に強い関心をもっていたようで、深澤はミラノ滞在時に彼らのプレゼンテーションを聞き、そのものづくりのあり方に耳を傾けた。もともとモルテーニは質の高い家具を作るメーカーという印象を抱いていたという。同じミラノ周辺を拠点に持つモダンな家具メーカーのアバンギャルドでテクニカルなイメージよりも、アーティスティックでハンドクラフト的要素に魅力を感じるメーカー。そうした伝統的なスタイルに魅力を感じ、依頼を引き受けることにした。しかし深澤はモルテーニを読み解きながら、これまでの彼らにない新しいスタイルを提案することになる。
曲線で構成されたシンプルなワンシーターソファの名は「シナモン」という。その愛くるしい名前同様に丸みを帯びたキャラクター性の強いデザインは愛着を刺激する。
「いまのモルテーニには、数多くの大きなソファがラインアップされています。そのなかでアイコニックなアップホルスターのワンシーターソファの存在は新鮮な印象を残すのではないかと考えました。イタリアを拠点とするブランドにおいてソファは大きな意味を持ちますし、私もぜひソファをデザインしたいと考えました」と深澤は振り返る。
「いま私は、いろいろなメーカーからアイコンとなるデザインを期待されることが多いように感じています。やはり彼らにもその期待があったのでしょう。いいデザインとはたとえば子どもが絵に描いてしまうようなフォルムではないかと思うのです。それは子どもたちが無意識のうちに気持ちよい形を見出しているからであって、そうしたデザインはやはり優れているように思いまです。今回はそうした子どもが絵に描けるようなソファを目指しました」
また深澤は〈モルテーニ〉のラインアップにイタリアモダンの巨匠、ジオ・ポンティの家具がいくつもあることを指摘する。そこには現在のデザイナーにはできない独特の癖があるという。
「もちろん名品ですが、それがすなわち洗練されたデザインと言えないところに不思議な魅力があります。つまりポンティという才能が生み出したタレント的な線なのですが、いま〈モルテーニ〉はもう少し洗練されたデザインを欲しているように感じたのです」と、深澤。
「いまのモルテーニには、数多くの大きなソファがラインアップされています。そのなかでアイコニックなアップホルスターのワンシーターソファの存在は新鮮な印象を残すのではないかと考えました。イタリアを拠点とするブランドにおいてソファは大きな意味を持ちますし、私もぜひソファをデザインしたいと考えました」と深澤は振り返る。
「いま私は、いろいろなメーカーからアイコンとなるデザインを期待されることが多いように感じています。やはり彼らにもその期待があったのでしょう。いいデザインとはたとえば子どもが絵に描いてしまうようなフォルムではないかと思うのです。それは子どもたちが無意識のうちに気持ちよい形を見出しているからであって、そうしたデザインはやはり優れているように思いまです。今回はそうした子どもが絵に描けるようなソファを目指しました」
また深澤は〈モルテーニ〉のラインアップにイタリアモダンの巨匠、ジオ・ポンティの家具がいくつもあることを指摘する。そこには現在のデザイナーにはできない独特の癖があるという。
「もちろん名品ですが、それがすなわち洗練されたデザインと言えないところに不思議な魅力があります。つまりポンティという才能が生み出したタレント的な線なのですが、いま〈モルテーニ〉はもう少し洗練されたデザインを欲しているように感じたのです」と、深澤。
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