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【今週の花と器】椿と〈ヴィトラ〉の《ヴァースデクパージュ》｜1月

January 16, 2023 | Design | casabrutus.com | photo_Kiyoe Ozawa text_Yoshikatsu Yamato styling_Yumi Nakata

1月3週目の担当は、祐天寺にある花屋〈チビ〉を営む芳賀規良さん。古くから美術や文学、音楽作品のモチーフとして登場し、茶道の世界では、冬の席を飾る花として人気がある椿。大輪のフォルムが濃い緑に映え、華やかなでありながら、どこか影のある和花を、曲線のパーツがモダンな花瓶と調和させるコツとは。

椿は、艶のある肉厚な葉っぱと、傷つきやすい花びらのコントラストが美しい花です。花屋としては、茶色いシミがあると省いてしまうことも多いですが、傷も含めて椿の姿ということを伝えてみたいと思いました。普段の仕事ではフレッシュな花の勢いを大切にしたオーダーに応えることもありますが、本来、花は咲くまでの過程から開花の絶頂期、そこから、水分がすこしずつ抜けて朽ちていく姿さえも綺麗だと思っています。

椿は、咲いてから1、2日で花びらを落とします。なので、つぼみのついた枝を選ぶと、順繰りに咲いていく様子が楽しめますよ。ただし、つぼみが硬すぎると咲かないこともある。膨らんで、開きかけているものを選ぶようにしてみてください。

今回の花瓶に対しては、やはり、弧を描くアーチと、どうバランスを取るかがポイントですね。葉っぱがアーチを超えるほどに長かったり、左右に広がった葉っぱでアーチが隠れ過ぎると、椿が出しゃばって見える。だからといって、アーチに対して低かったり、すべてが収まり過ぎてしまっても器との調和が図れない。

なので、器に花を実際に挿してから、調整をしました。まず、左右に広がる枝を一部切り落として、左右非対称にします。また、アーチの内側を、葉っぱが程よく埋めつつも、花がついた枝は、円筒の器やアーチの線からはみ出るように、横へ伸びていくものを選んでいます。アクセントとなる花の部分はアーチの動きに寄り添わないことで、いい塩梅になったと思います。