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新しくなった〈藤田美術館〉へ! 仏教美術や茶道具の名品が勢揃い。
April 25, 2022 | Design, Architecture, Art, Travel | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
国宝《曜変天目茶碗》など数々の名品を擁する大阪市都島区の〈藤田美術館〉。建て替えのため2017年から休館していましたが、この4月、新しくなった建物で再開館しました。仏教美術や茶道具の名品にまた会えるチャンスです。
〈藤田美術館〉を創設した藤田傳三郎は明治時代、大阪で活躍した実業家。藤田組を興して琵琶湖疎水工事などを手がけ、現在の南海電気鉄道や東洋紡績、関西電力などの前身となる会社の設立にも関わった。一方で日本美術が廃仏毀釈によって海外流出の危機にあることを憂い、仏教美術の収集につとめる。また茶人でもあった彼は、大名などのパトロンを失ってこれもまた危機にあった茶道具も集めていた。
1945年の大阪大空襲では藤田邸も全焼するが、美術品を収めた蔵は奇跡的に被害を免れる。1954年に開館した〈藤田美術館〉はこの蔵で藤田傳三郎やその子の平太郎、徳治郎らが集めた逸品を公開していた。それから半世紀以上の年月が経ち、貴重な美術品を守る空調などが整った新館を建設、この4月に5年ぶりの再オープンを迎えた。
新しい建物は藤田組と大倉組が設立した日本土木会社がもとになった大成建設の設計によるもの。隣接する毛馬桜之宮公園(藤田邸跡公園)との間にあった高い塀を取り払い、公園の中に美術館があるようなたたずまいになった。鉄筋コンクリートの権威と目された日比忠彦が設計した蔵を解体、その部材を随所に使っている。
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