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和と洋を超えた感性で創造に臨む|〈カリモク家具〉と部屋。
『カーサブルータス』2022年5月号より
April 8, 2022 | Design | PR | photo_Tomohiro Mazawa text_Takahiro Tsuchida
〈マス〉の《シェルフベンチ》は、国産針葉樹の持ち味を生かしたフレキシブルにして潔い家具。 履物職人の関塚真司さんの空間に、その姿が映える。
関塚真司さんは、草履や下駄といった日本の伝統的な履物を作る職人だ。約10年間の修業を経て独立し、京都郊外にオープンさせたのが隣り合う2つのスペース〈履物 関づか〉と〈岩倉 AA〉。〈履物 関づか〉では自身の手で履物を作り、〈岩倉 AA〉は洋服やアートはじめユニークなアイテムを扱うギャラリーとして運営している。自らデザインしたこの空間は、以前は建材置き場だったという建物で、心地よい静けさに包まれている。
今回、ここに置いた〈カリモク家具〉による〈マス〉の《シェルフベンチ》は、ロングサイズの上にショートサイズを重ねた。この家具は、積み重ねた時に安定するように脚部の上端と下端の形状を工夫してあり、ベンチとしても、多様なシェルフとしても使える。そんなフレキシブルさが大きな特徴だ。この製品のもうひとつの特徴は、主な素材に国産ヒノキの無垢集成材を用いたこと。針葉樹ならではの白木の木目が美しく、その持ち味を生かす整然とした姿をしている。
「無垢の木は、置いたものを引き立てるんです。特に小さいものを余白を取って置くと、とてもきれいに見えます」
と関塚さん。家具も大好きだという彼は、店内にある点数の何倍もの量の家具を所有している。明確な素材感を備え、フォルムが本質的で、「もの」としての力を持つデザインが彼の好みであるようだ。そのような個性を組み合わせ、溶け込ませていく感覚も鋭い。
「お客さんの足を測り、使い道を聞き、体を支えるものを作るのが履物の仕事。履物を通してお客さんの生活や人生を共有するんです。 家具も体や生活に密着しているものだから、 同じような感覚で好きなんです」
履物の修業に打ち込んだ年月を通して、関塚さんは日本のものづくりの感性を自分の中に凝縮するとともに、それ以外のデザインへ の興味も爆発的に広がったそうだ。一方、〈マス〉をデザインした熊野亘は、8年間にわたりフィンランドの学校で家具を学んだ。和と洋を超えた感性で創造に臨む姿勢は、彼らの共通点だろう。「素」を感じさせる潔さと深みが、そこから生まれている。
今回、ここに置いた〈カリモク家具〉による〈マス〉の《シェルフベンチ》は、ロングサイズの上にショートサイズを重ねた。この家具は、積み重ねた時に安定するように脚部の上端と下端の形状を工夫してあり、ベンチとしても、多様なシェルフとしても使える。そんなフレキシブルさが大きな特徴だ。この製品のもうひとつの特徴は、主な素材に国産ヒノキの無垢集成材を用いたこと。針葉樹ならではの白木の木目が美しく、その持ち味を生かす整然とした姿をしている。
「無垢の木は、置いたものを引き立てるんです。特に小さいものを余白を取って置くと、とてもきれいに見えます」
と関塚さん。家具も大好きだという彼は、店内にある点数の何倍もの量の家具を所有している。明確な素材感を備え、フォルムが本質的で、「もの」としての力を持つデザインが彼の好みであるようだ。そのような個性を組み合わせ、溶け込ませていく感覚も鋭い。
「お客さんの足を測り、使い道を聞き、体を支えるものを作るのが履物の仕事。履物を通してお客さんの生活や人生を共有するんです。 家具も体や生活に密着しているものだから、 同じような感覚で好きなんです」
履物の修業に打ち込んだ年月を通して、関塚さんは日本のものづくりの感性を自分の中に凝縮するとともに、それ以外のデザインへ の興味も爆発的に広がったそうだ。一方、〈マス〉をデザインした熊野亘は、8年間にわたりフィンランドの学校で家具を学んだ。和と洋を超えた感性で創造に臨む姿勢は、彼らの共通点だろう。「素」を感じさせる潔さと深みが、そこから生まれている。
せきづか しんじ
シューズブランドを経て、京都・ 祇園町の老舗履物店で約10年間にわたり修業。 2020年、京都で〈履物 関づか〉〈岩倉 AA〉 を開業。職人としての活動と並行して、ギャ ラリーの運営や空間のデザインを手がける。 https://hakimonosekizuka.com