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ストーリーを知ればもっと欲しくなる。日本の工場の中心地、燕三条の逸品5選。
January 22, 2022 | Design, Culture, Food, Travel | casabrutus.com | photo_Satoshi Nagare text_Masae Wako
日本が誇るものづくりの街「燕三条」は、ステンレス製品で知られる燕市と、鍛冶仕事の歴史をもつ三条市を中心に栄えた地域。いつも何気なく使っている食器や道具が実は燕三条産のものだった、ということも多いはずだ。今回は、この地を代表する5つの工場と商品をご紹介。プロダクトが生まれたストーリーや製造過程を知れば、さらに使ってみたくなるはずです。
●海軍御用達! 研究を重ねてできあがった〈イケダ〉のカレー皿。
「“カレー皿”っていう直球のネーミングがウケたんだね」と、50数年前を振り返るのは池田弘さん。ステンレスの業務用調理器具や食器をつくる工場〈イケダ〉の2代目だ。「昭和43年、ステンレス製皿といえば平たい皿が多かった時代、先代の社長がレストランで使われている陶器を見て、カレー専用の深い皿を思いついたんです。楕円形の奇抜なフォルムも目を引いたのかな。大ヒット商品になりました」。“奇抜なフォルム”はしかし、使ってみるとすくいやすく持ちやすい優れもの。1枚のステンレス板を独自の金型でプレスする、つまり継ぎ目がないので洗いやすくもあった。
ウワサがウワサを呼び、昭和54年には、なんと“海軍カレー”が有名な海上自衛隊が採用。今でも毎年5,000枚近くを納めているという。また、〈GOGO カレー〉や〈チャンピオン〉など金沢カレーの人気店で使われているのもこのカレー皿。その使いやすさ、推して知るべし!
ウワサがウワサを呼び、昭和54年には、なんと“海軍カレー”が有名な海上自衛隊が採用。今でも毎年5,000枚近くを納めているという。また、〈GOGO カレー〉や〈チャンピオン〉など金沢カレーの人気店で使われているのもこのカレー皿。その使いやすさ、推して知るべし!
「約50年間、型はまったく変わっていません。すでに400万枚以上つくっていると思いますよ」と話す池田さんに、工場を案内してもらう。大型小型のプレス機が並ぶ中には、300トンもの力がかかる巨大プレス機も。「重さをかけて、ステンレスの板をゆっくりゆっくり延ばすから、板が切れず強くなる。早くたくさんつくろうとしてプレスを急ぐと、途中で切れちゃうんです」
そのプレス作業はカレー皿だけで1日に約1500枚分。仕事は分業制で、プレスだけでなく研磨も手がけるし修理も請けおう。「50年同じ形をつくっているので、親子でこの仕事に就いている研磨職人もいます」。
そのプレス作業はカレー皿だけで1日に約1500枚分。仕事は分業制で、プレスだけでなく研磨も手がけるし修理も請けおう。「50年同じ形をつくっているので、親子でこの仕事に就いている研磨職人もいます」。
ちなみに、池田さんはカレー名人でもある。毎年秋に燕三条で開かれるイベント「工場の祭典」の時は、3日間かけてつくった“社長のカレー”をふるまうのが恒例。ピリッと辛くて最後は甘さが広がる絶品カレーを求めて、あっという間に行列ができるそうだ。「ウチのカレー皿は、家庭の定番カレーでもスープカレーでも食べやすい。いちばん好きなカレーをつくって楽しんでほしいですね」
イケダ
新潟県燕市大字小関1317 TEL 0256 62 6766。オンラインショップで購入可能。
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