DESIGN
困ったことが大好き♡祖父江慎のブックデザイン。
February 18, 2016 | Design | a wall newspaper | photo_Kaori Nishida text_Keiko Kamijo editor_Yuka Uchida
紙やインキ、特殊印刷や製本の知識と愛情が詰まった、思わず手に取りたくなる、物質としての本の魅力とは。
ンがない!? 漫画や小説、写真集などで、読者をニヤリとさせる装丁デザインを多く手がけるグラフィックデザイナーの祖父江慎による、11年ぶりの展覧会『祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ』が千代田区立日比谷図書文化館で開催中だ。本展では、祖父江氏が手がけた約2000冊のブックデザインから実例を出し、造本プランのアイデア出しから、紙選び、文字組み、インキ選び、製本まで、本が作られるプロセスの試行錯誤を公開する。
取材を敢行したのは展示3日前。展示の作業はかなり遅れているそうで、会場に入ると段ボールだらけ。スタッフの方が笑みを浮かべながら、「間に合わないかもしれませんね」とぽつり。余裕の笑みなのか、それとも……。そして、祖父江氏がバタバタと会場に到着すると、「困った、困った〜」と言いながらなんだか嬉しそうな様子。絶賛準備中の会場内で、ひとまず取材スタート。
取材を敢行したのは展示3日前。展示の作業はかなり遅れているそうで、会場に入ると段ボールだらけ。スタッフの方が笑みを浮かべながら、「間に合わないかもしれませんね」とぽつり。余裕の笑みなのか、それとも……。そして、祖父江氏がバタバタと会場に到着すると、「困った、困った〜」と言いながらなんだか嬉しそうな様子。絶賛準備中の会場内で、ひとまず取材スタート。
目の前の日常を疑いトラブルを面白がる。
まずは、展示タイトルについて。なぜ「ン」がないのでしょう。
「“ン”がないだけでどんなことになるか想像してみて。誤植かなって不安になったでしょ。理由を聞きたくなったでしょ。それでいいんですよ、ふふふ」と祖父江氏。どうやらタイトルから祖父江ワールドが始まっていたようだ。
「すべてのものが正しくうまくいってたら、だんだんと生きている必要がなくなってくるでしょ。だから、普段から困ったことがあるとみんなで喜ばなきゃって思っていて。“ン”がないことも、特に意味はないんだけど、目の前の日常を疑うきっかけになればと」
トラブルを面白がること。それは、漫画『伝染るんです。』で“正しい”乱丁本を作るなど、祖父江氏のデザインすべてに共通するポイントなのかもしれない。
会場に置かれた展示台には「迷う脳みそ」「刷っちゃう、盛っちゃう」「凸や凹や口」「本の寿命」といったユニークなタイトルがつけられ、印刷手法や製本、書体作りや紙選びなど、1冊の本ができるまでのプロセスが紹介されている。その仕事を見ていくと、紙も文字もインキも、本を構成するすべての要素を一から考え直し、物質としての本の新しい可能性を、探っているのだということがよくわかる。
「“ン”がないだけでどんなことになるか想像してみて。誤植かなって不安になったでしょ。理由を聞きたくなったでしょ。それでいいんですよ、ふふふ」と祖父江氏。どうやらタイトルから祖父江ワールドが始まっていたようだ。
「すべてのものが正しくうまくいってたら、だんだんと生きている必要がなくなってくるでしょ。だから、普段から困ったことがあるとみんなで喜ばなきゃって思っていて。“ン”がないことも、特に意味はないんだけど、目の前の日常を疑うきっかけになればと」
トラブルを面白がること。それは、漫画『伝染るんです。』で“正しい”乱丁本を作るなど、祖父江氏のデザインすべてに共通するポイントなのかもしれない。
会場に置かれた展示台には「迷う脳みそ」「刷っちゃう、盛っちゃう」「凸や凹や口」「本の寿命」といったユニークなタイトルがつけられ、印刷手法や製本、書体作りや紙選びなど、1冊の本ができるまでのプロセスが紹介されている。その仕事を見ていくと、紙も文字もインキも、本を構成するすべての要素を一から考え直し、物質としての本の新しい可能性を、探っているのだということがよくわかる。
Loading...