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ホンマタカシ〈BALENCIAGA AOYAMA〉東京の風景をインテリアに取り込むストア。
『カーサ ブルータス』2021年1月号より
December 9, 2020 | Design, Architecture, Fashion | PR | photo_Takashi Homma text_Jun Ishida
世界最大級の面積へと拡張した〈BALENCIAGA AOYAMA〉。内外の境界を曖昧にしたファサードは、外の景色をインテリアに取り込む。都市の風景がインテリアの一部になった世界で唯一の旗艦店です。
バレンシアガの世界最大級となる旗艦店が東京・表参道に誕生した。みゆき通り沿いに拡張リノベーションした店舗は、そのデザイン・コンセプトも世界初のものとなっている。
地上2階、地下1階の〈BALENCIAGA AOYAMA〉。デザインはアーティスティック・ディレクターのデムナ・ヴァザリア。屋外と屋内の環境が連続するコンセプトは、バレンシアガ初。インテリアにはコンテンポラリーな建築現場やオフィスなどの公共的な要素が取り入れられ、フロアごとに異なる雰囲気に。
地上2階、地下1階の〈BALENCIAGA AOYAMA〉。デザインはアーティスティック・ディレクターのデムナ・ヴァザリア。屋外と屋内の環境が連続するコンセプトは、バレンシアガ初。インテリアにはコンテンポラリーな建築現場やオフィスなどの公共的な要素が取り入れられ、フロアごとに異なる雰囲気に。
建物の内と外の境界線を曖昧にすることを試みた店舗は、ファサードが幾重にもなり、内部空間にも侵食するというものだ。建物の外装となるサッシに加え、内部には形状の異なる3種類のサッシが手前から奥へと設置され、床面もコンクリートのインターブロッキング舗装からゴムチップ舗装、そして毛足の短いカーペットへと、外部空間で用いられる素材から室内空間のものへと変化してゆく。さらに窓側には公園に置かれるようなベンチも設置し、テラスとも室内ともつかぬ曖昧な空間となっている。
店内はアノニマスなオフィスを思わせる雰囲気だ。棚はビルの外装で用いられるような押出形材で作られ、天井にはフラットな光を作り出す巨大な光膜が設けられている。とはいえ無機質な味気のないものになることはなく、グラフィティのようなスプレーペイントを施したケースを置くことでアクセントを添えている。さらに1階はシンプルにグレーのグラデーションでまとめられているが、2階には赤い絨毯、地下1階には赤いカーテンと赤を加えることで、グラマラスな雰囲気も漂う。
鏡やガラスが多用された空間は、無限に続いてゆくような錯覚を起こさせる。都市の風景を取り込みつつ、独自の空間を創出するユニークな店舗だ。