DESIGN
古今東西 かしゆか商店【琺瑯の保存容器】
『カーサ ブルータス』2020年7・8月合併号より
August 6, 2020 | Design | KASHIYUKA’s Shop of Japanese Arts and Crafts | photo_Keisuke Fukamizu hair & make-up_Masako Osuga editor_Masae Wako
日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回のお目当ては琺瑯のキッチン道具。栃木市内の工場で手づくりされる、“シンプル・清潔・頑丈”な保存容器です。
つるんと艶やかな白にシンプルな形。今回訪ねたのは、普段私も愛用している“ホーロー”の工場です。琺瑯と言うと鍋やヤカンの印象が強いかもしれませんが、私が気に入っているのは蓋つきの保存容器。保存食やつくり置き料理をする方も増えてきた、今の時代にぴったりの手仕事だと思います。
栃木県に工場をもつ〈野田琺瑯〉は1934年(昭和9)創業。
「琺瑯は、専用の鋼板を加工した素地にガラス質の釉薬を焼き付けたもの。熱に強く頑丈で酸にも強い。雑菌が繁殖しにくいため、中の食材の味や風味を変化させないと言われています。紀元前14世紀につくられたツタンカーメン王の黄金のマスクにも、琺瑯の技術で装飾が施されているそうですよ」
と話す社長の野田靖智さんの案内で、さっそく琺瑯工場を見学。まずは鉄の素地と上釉薬を密着させるための下引き(下地塗り)です。ヤットコという道具で掴んだ鍋や容器を釉薬に浸し、空中でクルクル回転。遠心力で表面のムラを振り払います。身に着くまで10年はかかる難しい技だそうです。
「琺瑯は、専用の鋼板を加工した素地にガラス質の釉薬を焼き付けたもの。熱に強く頑丈で酸にも強い。雑菌が繁殖しにくいため、中の食材の味や風味を変化させないと言われています。紀元前14世紀につくられたツタンカーメン王の黄金のマスクにも、琺瑯の技術で装飾が施されているそうですよ」
と話す社長の野田靖智さんの案内で、さっそく琺瑯工場を見学。まずは鉄の素地と上釉薬を密着させるための下引き(下地塗り)です。ヤットコという道具で掴んだ鍋や容器を釉薬に浸し、空中でクルクル回転。遠心力で表面のムラを振り払います。身に着くまで10年はかかる難しい技だそうです。
下地を施した製品は、工場内をぐるぐる巡るコンベアーに吊り下げられて、焼成炉へ運ばれます。850℃の炉はまるで灼熱のトンネル! この中を、吊した状態のまま移動させて、輻射熱で釉薬を焼き付ける。その後、上釉薬をかけて焼成する工程をもう一度繰り返すと、白くなめらかに輝く琺瑯の出来上がりです。
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