バウハウス初心者こそ、映画祭へ行け!
『カーサ ブルータス』2019年12月号より
| Design, Culture | a wall newspaper | text_Kazuo Hashiba editor_Yuka Uchida
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『バウハウス 原形と神話』 主に登場するのは、バウハウスで伝説の師に学んだ人々だ。記録映像と現在の元学生の証言。O・シュレンマーに師事した演出家のW・ヒルデブラントは、冒頭、踊りながら陽気に登場し体験を饒舌に語るが、その3年後に神に召された。肉声で当時を語れる者は、20世紀末の撮影時も少数だったはず。リアルなバウハウスを捉える最後の記録映画だ。出演 : ヴァルター・グロピウス、ヴォルフ・ヒルデブラント、ゲルトルート・アルント(1999・2009/ドイツ/103分)

『マックス・ビル─絶対的な視点』 スイスデザインの巨匠マックス・ビルは、バウハウスを受け継ぐウルム造形大学を築くが、教育方針は70年代に若手講師に否定されバウハウスの伝統は断絶。しかし、そのメソッドはウルムモデルズとして留学生が世界に広めた。エンドロールには日本に伝えた向井周太郎氏の名前も。出演 : マックス・ビル、アンゲラ・トーマス、ゴットフリート・ホーネッガー、イニャツィオ・シローネ、ヤコブ・ビル、エルンスト・シャイデッガー(2008/スイス/94分)

『バウハウスの女性たち』 性別年齢に関係なく学ぶ権利を保証したバウハウス。しかし、実際はセクシズムが蔓延し、女性は不条理を強いられた。M・ブラントや写真家のL・モホリなどの才能豊かな女性は、伝統と決別したはずのバウハウスの男性社会に圧迫される。研究者が検証するもう一つのバウハウス。出演 : エリザベス・オットー、テレジア・エンツェンスベルガー、モニカ・シュタードラー、パトリック・レスラー、アーニャ・バウムホーフ(2019/ドイツ/44分)

『バウハウス・スピリット』 技術と芸術の融合で社会変革を目指したバウハウスのユートピア的側面。その精神を受け継ぎ、現代の社会問題の解決や技術と表現の関係を追求する教育者、デザイナー、プランナー、コリオグラファーの活動を欧州と南米に追う。現代に息づくバウハウスの精神を知る作品。出演 : トルステン・ブルーメ、ローザン・ボッシュ、アルフレード・ブリレンブール、シュテファン・コヴァツ、フーベルト・クルンプナー(2018/ドイツ/52分)

『ミース・オン・シーン』 バウハウス最後の校長、近代建築の巨匠でもある、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ。〈バルセロナ・パビリオン〉(1929年)は、代表作の一つであり、近代建築の精華だ。圧倒的に美しい映像で稀代の傑作を捉え、さまざまな証言と記録映像でミースを描く。出演 : ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、フリッツ・ノイマイヤー、エドゥアルド・メンドーサ、バリー・バーグドール(2018/スペイン/58分)

『ファグス─グロピウスと近代建築の胎動』 2012年、世界遺産に登録された北ドイツの工場建築〈ファグス・ヴェルク〉。W・グロピウスがバウハウス校舎を手がける直前に設計した、当時、誰も見たことがない光溢れる工場だ。現在も現役。1911年の建設計画当時をファグスの経営者と設計者の2つの視点で振り返る。なぜ近代建築は鉄とガラスでつくられたのか。その理由がわかるはず。出演 : アンネマリー・イエギ、エルンスト・グレーテン、ヴァルター・シャーパー(2011/ドイツ/27分)