DESIGN
八田亨『ダイナミズム』展@シボネ青山|輪湖雅江の器とごはん
September 14, 2019 | Design, Food | casabrutus.com | photo_Kunihiro Fukumori text_Masae Wako
器は料理を盛ってこそ!ということで、人気作家の最新作を発表する個展に合わせて、作家本人にも料理を作ってもらっちゃおう…という無茶ぶり企画4回目。薪窯で焼いた力強い器で人気の八田亨さんが暮らす、大阪・冨田林の工房を訪ねました。なんと1000点の作品が並ぶという話題の個展は、青山の〈CIBONE Aoyama〉で9月20日から開催!
渋い、力強い、男っぽい──と、そんなふうに評されることが多い、八田亨の器。手間も時間もかかる薪窯で、納得がいくまで何度でも焼くというその八寸鉢やリム皿は、確かに骨太で迫力があって“土味”にあふれている。でも、なにより魅力的なのは料理を盛った時。器の迫力に艶っぽさが加わって、「早く食べたい!」気持ちをかき立てる。盛り映えするし、食べやすい。器が堂々としているせいか、食べてる姿もカッコよく見える。たぶんカレーやサラダのような、何度も食卓にのぼる料理をのせた時にわかるはずだ。「いつもと同じカレーなのに、だんぜん美味しそう」って。
八田が暮らすのは、大阪の中心街から電車で1時間ほどの富田林市。「このあたりは、江戸時代にお寺を中心に栄えた寺内町なんです。焼き杉の塀や漆喰壁、格子戸、瓦屋根などの景観を残す条例があって、昔の街並がきちんと残っているんですよ」と話す八田は3年前、この土地に住まい兼工房を建てた。街並みは美しいものの、敷地は道路から庭まで7mの高低差がある傾斜地。「2mくらいの草がボウボウに生えていて、ひと目見て、ああ、ここは無理だな…ってスルーしたんです。でも、僕が金沢出身のせいか歴史のある街に親しみを感じたんですよね。それと、ウチには娘が4人いるんですけど、彼女たちが大きくなった時に自分の町に誇りをもってほしいなあと思って、ここに決めました」
大学時代に建築の勉強をしていたこともあり、自らもアイディアを出しつつ知人の建築家に設計を依頼した。敷地の最も高い部分にある玄関を入ると、右手に工房、左手に住まいへのアプローチ。住まいの階段をぐいぐい降りるとキッチン&ダイニングが現れる。さらに下ってリビングへたどり着くと、そこは6mの吹き抜けを持つおおらかな空間だ。「せっかくなので、大胆な斜面を生かすことにしたんです。メリハリのある家にしたほうが面白いから」
大学時代に建築の勉強をしていたこともあり、自らもアイディアを出しつつ知人の建築家に設計を依頼した。敷地の最も高い部分にある玄関を入ると、右手に工房、左手に住まいへのアプローチ。住まいの階段をぐいぐい降りるとキッチン&ダイニングが現れる。さらに下ってリビングへたどり着くと、そこは6mの吹き抜けを持つおおらかな空間だ。「せっかくなので、大胆な斜面を生かすことにしたんです。メリハリのある家にしたほうが面白いから」
「もともと料理は好きで、普段からよくつくってます。工房と家が同じ建物だし奥さんも働いているので、昼はだいたい僕が担当。トマトソースから煮込んだりカレーのスパイスに凝ったりするような、じっくり時間をかける料理も好き」と話しながらキッチンに立つ八田。なるほど、後ろの棚にはよく使い込まれた鍋類やスパイス類がぎっしり。キッチンはコンクリートのアイランド型で、1辺が2m70cmもある大きめサイズだ。「いずれは娘たちといっしょに料理できたら、と考えてこのスタイルにしました。料理教室みたいにワイワイ野菜を切ったりパンをつくったりするの、いいですよね」
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Masae Wako
わこ まさえ 編集者・ライター。インテリアと手仕事と建築と日本美術にまつわる雑誌の仕事が中心。カーサブルータス本誌では〈かしゆか商店〉番頭。
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