CULTURE
アカデミー賞®大本命! 映画『ブルータリスト』は建築、デザイン的にも注目の一作です。
| Culture, Architecture, Design | casabrutus.coom | photo_© DOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVED. © Universal Pictures text_Keiko Kamijo
本年度アカデミー賞®大本命と言われる映画『ブルータリスト』。ホロコーストを生き延び、第二次大戦後にアメリカに渡った建築家の人生を描いた作品。物語のキーとなるのが、ブルータリズム建築だ。建築物や家具デザインを通して、1人の男の数奇な人生を描く難しい仕事を成し遂げたプロダクションデザイナーのジュディ・ベッカーにインタビューを行った。
2025年1月に発表されたゴールデングローブ賞では、ドラマ部門で作品賞、監督賞、主演男優賞の3冠を獲得し、第97回アカデミー賞®では監督賞、作品賞ほか10部門にノミネートされているというオスカー最有力の作品、『ブルータリスト』がまもなく公開される。
物語の始まりは第二次大戦後。ホロコーストを生き延びたハンガリー出身の建築家ラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)は、やむなく家族を本国に置いてアメリカへと渡り、ハンガリーで得た地位や名声をリセットして生活を始める。そして、ペンシルバニアで裕福な実業家のハリソン・ヴァン・ビューレン(ガイ・ピアース)と出会う。ヴァン・ビューレンはラースローの才能に惚れ込み、現地に置いてきた妻エルジェーベト(フェリシティ・ジョーンズ)と姪を呼び寄せる際の口添えをし、礼拝堂の設計と建築を依頼する。初めて得た大きなチャンスを成功させたいラースローだが、彼に様々な困難が降りかかる。上映時間3時間半超という中で、時代に翻弄された移民でありアーティストの人生が描かれていく。
物語の始まりは第二次大戦後。ホロコーストを生き延びたハンガリー出身の建築家ラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)は、やむなく家族を本国に置いてアメリカへと渡り、ハンガリーで得た地位や名声をリセットして生活を始める。そして、ペンシルバニアで裕福な実業家のハリソン・ヴァン・ビューレン(ガイ・ピアース)と出会う。ヴァン・ビューレンはラースローの才能に惚れ込み、現地に置いてきた妻エルジェーベト(フェリシティ・ジョーンズ)と姪を呼び寄せる際の口添えをし、礼拝堂の設計と建築を依頼する。初めて得た大きなチャンスを成功させたいラースローだが、彼に様々な困難が降りかかる。上映時間3時間半超という中で、時代に翻弄された移民でありアーティストの人生が描かれていく。
戦後の変わりゆく時代、そして建築家であるラースローの人生を描くうえで非常に重要となる家具や建築、背景セットのデザインを担当したのはプロダクションデザイナーのジュディ・ベッカーだ。映画『キャロル』(2015)で戦後のアメリカを見事に描き出した彼女は、元々ブルータリズム建築に興味があり、ブラディ・コーベット監督作品にも注目していたという。ブルータリズム建築とは、戦後復興時の1950年代にイギリスで見られるようになった建築様式に由来。ミニマルでありながらも、コンクリートやレンガが剥き出しで、装飾よりも構造そのものを見せる武骨で荒々しいものを差す。建築家としては晩年のル・コルビュジエやマルセル・ブロイヤー、アリソン&ピーター・スミッソンなどが挙げられる。
「ブルータリズム建築というよりは、モダニズムのデザイン全般に興味がありました。中でもクリーンでシンメトリーなデザインに惹かれます。建築物で言うとフィリップ・ジョンソンが手がけたコネチカットの自邸《グラスハウス》や、すでに移転してしまいましたがマルセル・ブロイヤーの《ホイットニー美術館》は大好きでした。移転したのはもう10年以上前なのに、今でも悲しい(笑)。実はこの映画にもホイットニー美術館へのオマージュが登場します。実際撮影を行ったのは、ハンガリーの医療系のミュージアムで、現地ではよく映画やドラマのロケーションとして使われる場所だそうです。天井に電球がたくさんある部屋があったんですが、そこを監督と見た時にホイットニーのロビーに似ているねという話になり、映画に登場させようと話をしました」
「ブルータリズム建築というよりは、モダニズムのデザイン全般に興味がありました。中でもクリーンでシンメトリーなデザインに惹かれます。建築物で言うとフィリップ・ジョンソンが手がけたコネチカットの自邸《グラスハウス》や、すでに移転してしまいましたがマルセル・ブロイヤーの《ホイットニー美術館》は大好きでした。移転したのはもう10年以上前なのに、今でも悲しい(笑)。実はこの映画にもホイットニー美術館へのオマージュが登場します。実際撮影を行ったのは、ハンガリーの医療系のミュージアムで、現地ではよく映画やドラマのロケーションとして使われる場所だそうです。天井に電球がたくさんある部屋があったんですが、そこを監督と見た時にホイットニーのロビーに似ているねという話になり、映画に登場させようと話をしました」
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