CULTURE
鈴木マサルの名言「虹のような存在の生地をつくりたい。」【本と名言365】
July 17, 2024 | Culture, Design | casabrutus.com | photo_Yuki Sonoyama text_Yoko Fujimori illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。国内外の様々なブランドから作品をリリースするテキスタイルデザイナー・鈴木マサル。 目にするだけで“気持ちがあがる”色と柄に込めた、テキスタイルデザインへの飽くなき思いとは。
虹のような存在の生地をつくりたい。
人生には色が必要だ。カーテンやテーブルクロスをモノトーンでまとめた空間も静穏で心地良いけれど、目にしただけで心にパッと光が射すような色と生活を共にするのも大いなる豊かさだろう。
「重版」という技法によるプリントで無地のテキスタイル(生地・布)に色や柄を施し、胸踊るようなカラフルな世界観を生み出すテキスタイルデザイナー、鈴木マサル。
〈マリメッコ〉のプリントファブリック「Kranssi」や「むす美」の風呂敷シリーズ、自身のテキスタイルブランド〈OTTAIPNU(オッタイピイヌ)〉の「harinezumi」、「吉井タオル」のタオルコレクション等々、その鮮やかな配色と時にクスッとするようなユニークなモチーフたちは、必ずやどこかで目にしたことがあるはずだ。
テキスタイルは1枚の絵画のように観賞できるものでありながら、身に纏い、顔や手を拭き、何かを包(くる)むことも、そして自ら包まれることもできる。それが紙上のグラフィックと異なる点であり、氏はテキスタイルを「2.2次元の世界」と表現する。0.2次元は布の厚みを意味し、その厚みが温かさや心地よさといった五感に直接訴えかける力になると言う。
テキスタイルは人との距離が圧倒的に近く、触れる面積が広いため受け取る情報量も多い。だからこそ「喜びや楽しさ、嬉しさなど、そんな形にできない感情を導くものをつくりたい。色や柄には気持ちを高揚させる力があるから」と語るのだ。これは鈴木氏自身が美大時代に大学の図書館で〈マリメッコ〉についての記事に出合い、フィンランドのテキスタイルに心惹かれたというルーツにも重なる。
「虹のような存在の生地をつくりたい。単純にきれいで、だけど特別な意味や機能は無く、でも見たらやっぱり気持ちがあがってしまう。そんな生地。」
なんと明確で濁りのない“初期衝動”だろう? この1冊には、そんな鈴木氏のプリント製作への強い思いが散りばめられている。
「会社で何か嫌な事があった帰り道に、衝動買いしてしまうようなものをつくりたい。」
使う人が見て「ワー!」という気持ちになるものができればOK。柄だらけで色だらけで、見るだけでドキドキするようなキラッキラに輝く生地をつくりたい、と語る鈴木氏。
氏のプリントテキスタイルはいわば日々の頼もしい相棒だ。鮮やかな色の重なりが色面の複雑さやアナログな味わいとなり、世代も性別も国境も超えた普遍的な美しさを生み出す。だからこそ、使い、身に纏う時、色がもたらす高揚感に無意識に包まれるのだろう。
人生には色が必要だ。カーテンやテーブルクロスをモノトーンでまとめた空間も静穏で心地良いけれど、目にしただけで心にパッと光が射すような色と生活を共にするのも大いなる豊かさだろう。
「重版」という技法によるプリントで無地のテキスタイル(生地・布)に色や柄を施し、胸踊るようなカラフルな世界観を生み出すテキスタイルデザイナー、鈴木マサル。
〈マリメッコ〉のプリントファブリック「Kranssi」や「むす美」の風呂敷シリーズ、自身のテキスタイルブランド〈OTTAIPNU(オッタイピイヌ)〉の「harinezumi」、「吉井タオル」のタオルコレクション等々、その鮮やかな配色と時にクスッとするようなユニークなモチーフたちは、必ずやどこかで目にしたことがあるはずだ。
テキスタイルは1枚の絵画のように観賞できるものでありながら、身に纏い、顔や手を拭き、何かを包(くる)むことも、そして自ら包まれることもできる。それが紙上のグラフィックと異なる点であり、氏はテキスタイルを「2.2次元の世界」と表現する。0.2次元は布の厚みを意味し、その厚みが温かさや心地よさといった五感に直接訴えかける力になると言う。
テキスタイルは人との距離が圧倒的に近く、触れる面積が広いため受け取る情報量も多い。だからこそ「喜びや楽しさ、嬉しさなど、そんな形にできない感情を導くものをつくりたい。色や柄には気持ちを高揚させる力があるから」と語るのだ。これは鈴木氏自身が美大時代に大学の図書館で〈マリメッコ〉についての記事に出合い、フィンランドのテキスタイルに心惹かれたというルーツにも重なる。
「虹のような存在の生地をつくりたい。単純にきれいで、だけど特別な意味や機能は無く、でも見たらやっぱり気持ちがあがってしまう。そんな生地。」
なんと明確で濁りのない“初期衝動”だろう? この1冊には、そんな鈴木氏のプリント製作への強い思いが散りばめられている。
「会社で何か嫌な事があった帰り道に、衝動買いしてしまうようなものをつくりたい。」
使う人が見て「ワー!」という気持ちになるものができればOK。柄だらけで色だらけで、見るだけでドキドキするようなキラッキラに輝く生地をつくりたい、と語る鈴木氏。
氏のプリントテキスタイルはいわば日々の頼もしい相棒だ。鮮やかな色の重なりが色面の複雑さやアナログな味わいとなり、世代も性別も国境も超えた普遍的な美しさを生み出す。だからこそ、使い、身に纏う時、色がもたらす高揚感に無意識に包まれるのだろう。
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